第28話
「ん?顎が普通のより発達しているストーンアントが出てきた?」
視覚共有で巣穴の殲滅状況を確認していると。
サイズは変わらないけど。さっきまでのストーンアントに比べて顎だけが異常に発達した個体が出てきた。
「それは女王蟻を護る戦闘特化個体だな。それが出てきたって事は女王蟻が近くにいるはずだ……巣に突撃したってこんな速度で女王蟻のいる最奥まで辿り着ける何て少し信じられないが」
フェンリルかヨルムンガンドの力が借りられなきゃ俺だって無理だった。
魔力は〈吸魔〉で回復出来るし。〈影の茨〉で自分の事を守りながら倒していけば俺一人でもストーンアントの巣を殲滅する事は出来るだろうけど。
こんな短時間で倒すのは無理だ。
魔力は実質無限でも体力的な問題も有るしね。
実際にひとりでストーンアントの巣の殲滅をしたいかと言われたらしたくないけど。
地上で固まっているんなら、どれだけ数がいたとしても〈影の国〉で片付けられるけど。
何度も枝分かれしている迷路のような巣の中にいるとなると〈影の国〉1発で殲滅ってのは難しい。
「あっ、デカイ蟻が出てきた」
多分アレがストーンアントの女王だろう。
他のストーンアントと同じようにフェンリルのブレス一撃だったけど。
これでとりあえず巣の主の討伐は終わったって訳だ。
と言っても、まだフェンリルが進んでない道が沢山あるのでストーンアントの殲滅と言う点ではまだ終わりでは無い。
フェンリルは来た道を引き返し、進まなかった通路に進んでストーンアントを殲滅していく。
ストーンアントの卵が沢山置いてあった部屋とかちょっと気持ち悪かったけど。
フェンリルは宣言通り暗くなる前にストーンアンとの殲滅を無事終わらせた。
フェンリルがストーンアントの巣から出るととぐろを巻いて休憩しているヨルムンガンドとストーンアンとの死骸で出来た山が視界に入り込んで来た。
フェンリルが最短ルートで最奥に向かっている間。
フェンリルと遭遇しなかったストーンアントが外に出てきていたようだ。
ヨルムンガンドはフェンリルに向かってシャーと威嚇をする時に出す音をだしたと思うと、義体がボロボロと崩れだした。
フェンリルに対して『余計な仕事させるんんじゃないよ』と言ってから〈影の蛇王〉を
ヨルムンガンド人身が解除した感じだな。
フェンリルはワフゥ…とため息を吐いてからストーンアントの死骸を〈影収納〉に仕舞いこちらに帰って来る為に走りだした。
「ストーンアントの殲滅終わったので、素材を持ってフェンリルが帰って来ます」
俺以外の人はマジかよって驚いた顔しているけど。
フェンリルだからね。寧ろ時間がかかった方だろう。
フェンリルがいくら強かろうが、俺が作る義体を使っているからな。
力は大幅にセーブされてしまっている。
噛み砕いたりとか爪で斬り裂いたりみたいな体を使った攻撃をせずにブレスで攻撃するのが多いのはそれが理由だ。
物理攻撃は義体の性能が大きく関わって来るからな。
それに比べて、ブレス攻撃だったり魔法の場合は物理攻撃ほど義体の性能は関わってこない為、物理攻撃より高いダメージを出せる。
「おかえりフェンリル。早速だけどストーンアントを空いてる場所に出してくれる?」
ストーンアントが殲滅されたと俺以外の人が納得するには、実物を見る必要が有るだろう。
殲滅されてる状況を見てたのは視覚共有を使っていた俺だけだからな。
空き地部分にドンドン氷漬けのストーンアントの山が作られていく。
空いている場所ではストーンアントの死骸を出し切れなかったので、氷を溶かして貰った後に俺の〈影収納〉に仕舞っていく。
現状100m四方の範囲しか無いからな。
テントやらかまど、木材置き場とか設置されてるから。何もない空き地の範囲はかなり少なくなって来ている。
人数が少ないし、無計画に広げるのは管理が大変になると思って、広げてなかったけど。
木を引っこ抜いて開拓地として使える土地を増やしておかないとな。
ストーンアントの甲殻のおかげでレンガ造りの家を建てられるようになった訳だし。
仮の家じゃなくてしっかりした家を建てられるように広い土地を用意する必要もあるし。
「女王蟻に戦闘特化タイプもいて大量の通常種……信じられないが本当に殲滅が終わったようだな……」
ストーンアントの死骸を確認して本当に殲滅が終わったと納得して貰えたらしい。
良かった良かった。
その後は夜になるまでストーンアントの死骸の解体を続けた。
合計で1500体は超えているので、解体は全然終わらなかったけど。
それは仕方ないだろう。
それにしても、冷静に考えると1500匹いてもレンガの家を何軒も建てるのは無理そうだよね。
うーん。フェンリルに頼んで追加でストーンアントの巣を探してもらうか。
と言ってもストーンアントの巣ってもはや洞窟だし、そういくつも周囲に存在したら地盤が心配になるよな。
まぁ、疾風迅雷の人達が何か解決法を考えてるだろう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
読んでいただきありがとうございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます