第26話
「それにしても、一日で凄い事してるな。だからこそ1級魔導師にこんなスピードで認定されたんだろうけど。それにそこのフェンリルはその戦争に使わなかったんだろ?」
一晩空けて、昨日何があったのか開拓地にいるメンバー全員集まった場所で話をした。
「えぇ、フェンリルにヨルムンガンドは分類上神官魔法みたいなものですからね。人と人の下らない戦争に使う訳にはいかないですから」
ロキはそんな事気にしなさそうだけど。
これは俺のポリシー的なものだ。
「なるほどな。俺からしたら使えるもんなら全部使えば良いだろうって思うけど。そう言う考えの持ち主だからこそ聖痕を与えられたんだろうな」
そう言う納得のされ方されるのは想定外だけど。まぁ、納得してくれたんならそれで良いや。
「それにしても、1人で万単位の軍勢を退ける事が出来る。そう実演してみせてしまった。周囲が騒がしくなるかもな」
今回の件のせいで、俺の事を注目する勢力は一気に増えたはずだ。
それこそ国外からも注目され始めたはずだ。
確かに、開拓地が騒がしくなるかもな。
「ほんと。上手くいかないですね。俺は辺境でのんびり暮らすことが出来ればそれで良かったんですけどね」
邪魔されないように最低限の地位は欲しいなと思って行動しているから、そのせいでは有るんだろうけど。
「まぁ、仕方ない。王女様主導の最辺境にある未開拓領域開拓。普通に考えたら無謀だと笑われる事業だが、今回に関しては成功する可能性がものすごく高い。その時点で妨害が入る事は分かっていた事だ。それが増えたところで問題ないだろう」
それはそうだけど。だよね〜と俺が開き直る訳にはいかない。
フェンリルとヨルムンガンドには今まで以上に警戒してもらうことにしよう。
そんな感じで昨日の報告会を兼ねた朝食が終わって。開拓作業を始める。
カレアとクリスに奴隷から解放する話はもっと直前に話をするか。
スレイさんが俺に1級魔導師であると証明する為の懐中時計を持ってきた時に、一緒に王都に帰らせて貰って、奴隷商のお店に行って二人を奴隷から解放する予定だから。
今話しても数日期間が空いちゃうからな。
この話をしちゃうとソワソワするだろうから。
今じゃなくて直前に話す。その方が驚き倍増で素が出そうだし。
今日も昨日と同じ作業をするって事になったからログハウスを作る為の丸太作りだ。
俺は帰還の翼の材料になる鳥系の魔物の風切羽を探しに行きたかったんだけどな。
まぁ、開拓地にログハウスを建てるのも重要な仕事だし無理に別の仕事をしたいとは言わないけどね。
「それにしても王女様が暮らす予定の家だからといって最初から結構大きく作るんですね」
開拓村だからって王女様がログハウスで過ごすのかね?
直ぐに新しい建物を建て始めるんじゃないの?
王女様ように建てたログハウスはその間の繋ぎの建物だと俺は思ってたけど。
だとしても立派なのを建てる必要があるとか?
「言いたいことは分かるが。マエル王女がそう言う王族だったら俺らは今回の件手伝っていない」
「成程。よく知らないのに想像で勝手なことを言って申し訳ございませんでした」
どう言う関わりがあるのか知らないけど。
どうやら疾風迅雷のメンバーはマエル王女の事を心酔しているわけではないけど、信頼しているらしい。
俺の発言を受けて少し不機嫌になった気がしたので、早めに謝る。
現状疾風迅雷と俺らしかいないのに仲が悪くなるのは避けないといけない。
一度しか話した事ないからな、王族っぽくない親しみやすさと王族らしく物事のなんて先も読んでいそうな油断出来ない雰囲気それが同居している、そんな印象しかなかったな。
「いや、お前さんの考えの方が普通の考えだろう」
その後はお詫びも兼ねて丸太作りに集中して黙々と作業を続けた。
「ストーンアントの巣を見つけたぞ!」
そう言いながら周囲の探索をしていた疾風迅雷のメンバーが帰ってきた。
「ストーンアント?アリの魔物がそんな報告必要な事なのか?」
アリの魔物は数が増えるのが早いから急いで対処しないと問題になるとか?
魔物たちは魔力濃度の高いところで自然発生するけど。
自分たちでも繁殖する事が出来る。
アリ系の魔物の巣が見つかったってことは巣の中に大量の卵が有るんじゃないか?
「ご主人様。ストーンアントの甲殻は細かく砕いて少量の水と混ぜると建材になるんです」
カレアが言うにはストーンアントの甲殻は地球で言うコンクリート的な使い方が出来るみたいだ。
完成したログハウスの上から塗って建物の強度を上げると言う使い方も出来るし。
ブロックレンガの形に成形して乾燥させて、レンガの家を建てる事も出来る。
場所によって色んなサイズのレンガを作らなきゃいけないし手間はかかるけど。ログハウスより頑丈で快適な家が作れるって訳か。
そりゃ、ストーンアントの巣を見つけたってのは大声で一番に報告する必要があるな。
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