第25話
「帰ってこれたのは良いけど。少し歩く必要があるよな……」
すっかり忘れてたけど。スレイさんは俺が開拓中の場所から少し離れている時に俺が持っている2級魔導師である事を証明する懐中時計をポイントに転移してきて、その地点をそのまま帰還の翼の転移ポイントとして登録してたからな。
帰還の翼のポイントを開拓地の中に作ってしまうと敵勢力に使用されると危ないって言ってたけど。
帰還の翼って使い捨てアイテムだしポイント登録は1つづつ毎回しないとだし。そこまで注意する必要あるのかな?
新しく作る時に既にポイント登録されている帰還の翼を作ること出来るのかな?
作ると言うより複製見たいな?
……あっ。
複製で増やせるじゃん。
あ〜帰還の翼使っちゃったよ。
でも、既にポイントが登録された状態の帰還の翼だし。複製するならポイントが登録されてないものにしないとあんまり意味無いかも。
そもそも帰還の翼を複製して使いまくってたら絶対怪しまれるよね?
せめて、帰還の翼を作る為の素材を複製して職人に制作を依頼するか。それなら素材は未開拓領域で確保したって説明せずとも考えてくれるだろうし。
で、話が戻るけど。そもそも俺はこの懐中時計のせいで転移ポイントを持ち歩いている。
その時点で開拓地内に帰還の翼のポイントは登録しない方がいいとか関係なくね?
まぁ、どうでも良いや。寝ている時はこの懐中時計別の部屋とかに置いといた方が良さそうかなってぐらいかな?俺に関係するのは。
もしくは影収納の中に、この懐中時計を仕舞っておけば影収納の中は時間停止しているし転移ポイントとして機能しないのでは?と思ったけど。
万が一、影収納内に懐中時計を仕舞っている時に誰かが転移ポイントとして利用した結果、転移失敗して次元の狭間に投げ出されたとかなったらシャレにならない。
なので俺が寝ている間は取り敢えずフェンリルの首にかけておこうと思う。
金属のチェーンがついてるからフェンリルの首にかける事も可能だろう。
……本来の使い方じゃ無いだろうけど。
そう言えば1級魔導師になったので懐中時計が豪華になった。
側がミスリルになって彫刻も細く豪華になるらしい。
現在作成中らしいからまだ持って無いんだけどね。
「おっ。ありがとうフェンリル迎えに来てくれたんだね」
何、1人で森の中突っ立ってんだ早く開拓地に帰れよ!と思ったろうけど。
月明かりしかなくて真っ暗な森の中考え無しに移動するのは危険だったので、こうやってフェンリルが迎えに来てくれるのを待っていた訳だ。
〈影の狼王〉を一旦解除して、もう一度発動させたり〈影の蛇王〉を発動させてヨルムンガンドに連れ帰ってもらうって方法もあるけど。
なんだかんだいって、ただ待っているのが1番早い。
迎えに来てくれたフェンリルの背に乗って開拓地に戻った。
「ご主人様!お怪我は……無さそうですね」
開拓地に帰ってくるとカレアが出迎えてくれる。と思ったら身体中をぺたぺた触られて怪我がないか確認される。
「怪我してたら、こんなあっさり帰って来ないよ」
怪我したとしてもエリクサーが有るし。怪我した状態でここに帰ってくる事は無い。
「とりあえず。今日はもう寝よう。詳しい話は明日、疾風迅雷の人達も含めて説明するから」
それじゃ、いつも通りカレアは疾風迅雷の女性メンバーのテントにと言おうとしたらウルウルした目でジッと見つめられる。
「分かった分かった。寝るだけだからな?」
「はい!」
カレアが嬉しそうにしっぽをぶんぶん振りながら返事をする。
数ヶ月でどうしてここまで気に入られたのか……
普通の扱いをしているだけなんだけど……
普通に扱っているからなのかな?
借金奴隷は最低限の人権が認められているとはいえ。
あまり良いとは言えない扱いを受ける事もあるからな。
欠損した腕も生やしてあげたし。
まぁ、ケモ耳とかしっぽは見ているだけで癒されるし。
巨乳とまではいかないけど。平均以上のサイズの胸で容姿も可愛い。
気に入られて悪い気はしないけど。
今の扱いが続くように俺に媚びてるだけかもしれないし……
いっその事、借金を俺が返して奴隷から解放してみるか?
奴隷から解放されて自由の身になっても俺への対応が変わらないなら少しは信用出来るかな。
信用できるかどうか確認する為に2人の借金1000万を払う必要が有る訳だけど。
戦争の褒賞で1500万貰ったし、払えないわけではない。
マグマランスの魔法陣を第一王子に教えた報酬に貰ったお金もまだ残っているし。
1000万払ったとしてもお金に余裕はある。
もし、2人が奴隷から解放した後、俺を裏切ったとしてもフェンリルにヨルムンガンドがいれば問題なく処理してくれるだろうし。
先ずは、2人に相談して反応を見てみるか。
そう言う話を唐突にされると、ついつい素の反応をしてしまうと思うし。
判断材料の1つになるだろう。
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