第24話

影の毒蛾を使って敵の貴族っぽいやつを麻痺させて確保完了。

だるいけど俺が担いで影狼に乗って領都の中に侵入。スレイさんを探す。


領都に侵入している敵国の兵士に攻撃されると思って警戒していたけど。攻撃される事は特に無かった。


と言うか戦闘が行われていなかった。

中も既に勝敗がついてたか。


外に関しても捕虜を確保した後に俺が確認できた敵国の兵士は全員魔法の餌食にした。

俺が気づけず逃げられた兵士もいるかも知れないけど。


まぁ、それは仕方ない。


「あぁ、いたいた。スレイさん外片付けて来ましたよ。それと高い地位についてそうな捕虜を確保して来ましたよ」


「おぉ、流石我が息子」


「は?頭お花畑かよ(何ってんだぶっ殺すぞ)?」


危ない危ない。流石にぶっ殺すなんて言ったらまずいからね。


何とかぶっ殺すじゃなくて、もっと優しい言葉で返事する事が出来た。


スレイさんとの会話に割り込んで来た男が顔を真っ赤にして小刻みに震えているけど。

無視だ無視関わったら無駄に疲れるだけだ。

別に俺がなにかしなくても、もう勝手に没落していくの確定だし。


「フィレーム辺境伯。こんなところでくだらない事を言っているのではなく。早く戦後処理に移るべきでは?ただでさえ現状フィレーム家はなにもしていないのに、戦後処理すらグダグダなんて無能を晒すようなら……」


冗談抜きで用無しとして処理しますよ?って事だろうな。


悪いのは辺境伯なのに敵国の侵攻を止める事が出来ず領都陥落1歩手前までいった挙句。

近衛騎士と2級魔導師が戦争を終わらせた現状フィレーム家はなんの役にも立ってないからな。

だからこそ、あんなとち狂ったこと言ったんだろうけど。


「私たちがここでする仕事は終わったので王都に帰還しましょう。それにしても、継承順位が低いとは言え王族が参加しているとは。

向こうも王位継承権を巡ってきな臭いことになって来ているらしいと情報は入って来てましたが。本格化して来ましたか…」


俺が連れてきたのは王族だったらしい。


とりあえず。フィレーム領の領都にいる必要はもうないらしい。

帰還の翼を使って別の人員が派遣されてくるんだろう。


やっぱり帰還の翼って凄い便利だな。

コストは高いだろうけど……俺たちが開拓している未開拓領域でなら素材を手に入れることが出来るかな?


王国は喜んで買い取ってくれるだろう。


未開拓領域のなかでも魔力濃度が高いところに向かって歩いてればお目当ての素材を手に入れられるかな。


鳥系の魔物の風切羽が必要なんだよね?

鳥系の魔物のものならどれでも良いって事は無いだろうし。スレイさんに聞いてみるか。もしくは未開拓領域に帰ってから疾風迅雷の誰かに聞いてみるかだな。


ところで俺は王都じゃなくて今すぐ未開拓領域に帰るのはダメなんですか?……そうですかダメですか……


帰還の翼で王都に連行される事になった。



ーーーーーーーーーーーー



「━━━━━よって2級魔導師ジャンを1級魔導師へと認定する」


王都に到着すると捕虜として捕まえた男をスレイさんがどこかへ連れて行き。俺はメイドさん達にお風呂に連れていかれ全身綺麗に現れて、礼服を着させられて気づいたら王座の間で陛下に謁見していた。


今回の戦争の功績を称えると言う名目で、結構な金額のお金と2級魔導師から1級魔導師にランクアップした。


この間俺は謹んでお受けいたしますと言う機械になってたけど。何とか謁見を切り抜けた。


国王陛下を直接見たのは初めてだけど。

一瞬目が合っただけで全てを見透かされたような感覚におちいってしまった。


流石国のトップと言う事だろうか。


まぁ、そんなに何度も対面するような人物じゃないし、謁見は終わった訳だし。

もう緊張する必要は無い。国の端も端にある未開拓領域で開拓作業をしている訳だし余計対面することは無いだろう。



「ところでスレイさん俺は未開拓領域にまだ帰れないんですか?」


「帰れますが。もう夜なのですし、1晩王城に泊まり朝イチで帰るのでも良いのでは?」


確かに言う通りなんだけど。王城にいたらなにかに巻き込まれそうだし。

さっさと未開拓領域に引っ込む。


「未開拓領域にクリス達を置いてきちゃってますからね。1人だけいい部屋で寝るのも申し訳無いですから」


パッと思いついたそれっぽい言い訳を言っておく。


「そうですか。ならこれを使ってください」


スレイさんから渡された帰還の翼を使って未開拓領域に転移した。


ーーーーーー


「精神が壊れているからこそ常人の様に振る舞えているですか……」


これが陛下のシャン殿に対する感想。


確かに5歳から15歳まで部屋に軟禁されていただけでなく、フィレーム家の屋敷にいる者全てから虐めを受け、周りに敵しかいない状況。


そんな状況、子供が耐えられる訳が無い。

とっくのとうに精神は壊れてしまっているはず。


戦争だとしても躊躇無く大量殺人をしてケロッとしているあたり陛下の感想は決して間違っていないのだろう。


国を発展させる要になる事も出来れば国を滅ぼす厄災にもなりかねない。


出来れば後者になって欲しくないと思いながら自分一人しかいなくなった部屋を後にした。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


読んでいただきありがとうございます。



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