第34話
「ただ今戻りました。ご主人様の優勝一点掛けの倍率は50倍でしたよ」
「いくら魔法使いだからって俺人気無さすぎじゃない?」
「ご主人様は予選に出場してないですし。活躍したのも戦争一回のみ。聖痕持ちとして知名度は有りますが。実力は未知数ですからね。ご主人様が魔法使いなのもあって優勝は無理だろうと評価されているみたいです」
建国祭を盛り上げる為に開催される闘技大会に出場するために開拓地から王都に移動して2週間と数日経った。
闘技大会の予選は既に終了して、3日後から闘技大会の本線が始まる。
だからカレアに俺の優勝に一点掛けしてきて貰ったんだけど……思った以上に人気が無いようだ。
ま、仕方ないかな。
「それはそうと。外はどうだった?」
今日は建国祭の初日。外はいつもに増して賑わっていただろう。
ちなみに今、俺たちがいる場所は1級魔導師になると与えられる王城にある研究室だ。
寝起きもここでできるから王都に来てからずっとここに篭っている。
ただ篭ってた訳じゃなくて既存の魔法陣の最適化や新たな魔法陣の作成など結構忙しかった。
その甲斐あって闘技大会優勝もまじで狙えると思う。正直、開拓地にいた頃に使えた魔法だけじゃ優勝どころか本線一回戦突破も厳しかっただろうからな。
「貴族街は例外として、王都中に屋台が沢山出ていましたし。人が多くて道を歩くのも一苦労でした」
「歩くのも一苦労かぁ。折角だし外に出て建国祭を楽しむのも良いかもなって考えてたんだけど。やっぱ止めたこの部屋でのんびり過ごそう」
建国祭にあわせて王都に来た露天商が掘り出し物探しをする予定だったんだけど。
進むのすら苦労するって言うなら外にでるのはやめよう。
3日後には闘技大会の本線があるし。
外に出て面倒事に巻き込まれたくない。
建国祭は1週間続くし、無理に今日露天商巡りをする必要も無い。
ーーーー3日後ーーーー
「凄い熱気だ」
闘技大会当日、1回戦目から出番なので控え室で待機しているけど。
控え室まで観客の熱狂した声が聞こえて来る。
「シャン様、お時間になりました」
呼びに来た運営の人の後ろをついて行く。
「こちらの階段を上っていただくとリングの目の前に出られます。それでは私はこれで」
一段一段ゆっくりと上がり階段を登りきる。
対戦相手は既に半透明なドームに囲まれた円形状の舞台の上で俺の事を待っていた。
まっ、対戦相手が既にまっているからって急いだりしないけどね。
「随分余裕だな魔導師様は」
「緊張する要素が無いからね」
「けっ。調子に乗りやがって。伸びに伸びたその鼻叩き折ってやる!」
対戦相手はやる気十分のようだ。
まっ、やる気があろうがなかろうが俺がやる事は変わらなけどな。
「始め!!」
審判が開始の合図をした瞬間対戦相手が闘気を使った身体強化をして距離を詰めて攻撃して来たので、こちらも闘気を使い身体強化して相手の攻撃を躱す。
「この大会の為に闘気を扱えるように訓練したのかも知れないが。付け焼き刃な闘気を扱う魔法使いなんてカモでし━━━ゴフッ……なっ何故闘気を使っているのに魔法を」
俺が闘気を使った事で勝ちを確信して調子に乗った男を〈影の茨〉で串刺しにする。
串刺しになった男は光の粒子になって消えたと思ったら半球状のドームに囲まれた舞台の外に傷一つない状態で現れた。
舞台を囲んでいる半球ドームの中で死んだ人はドームの外で生き返る。
古代の遺跡から出土した謎の技術で作られた魔導具の効果らしいけど。
凄まじい効果だ。
物凄い量の魔石を消費するようだからこう言った特別な闘技大会じゃないと使用する事は無いみたいだけどね。
「勝者!1級魔導師〈新星〉シャン!」
歓声を背に上って来た階段を下りてカレアとクリスが待っている個室になっている観客席へと向かった。
ーーーエラルドsideーーー
「シャン君はホントに何度も私の事を驚かせてくれる。どう考えても闘気使いが有りという条件でどう戦うのか。楽しみにしていたが……想像以上だ」
まさか、闘気を使いながら魔法を使うとは…
闘気を使い発動させる闘術、、魔力を使い発動させる魔法。
これを一人の人間が同時に使うことは不可能とされてきた。
そんな事は無いと今まで多くの人間が研究し
その不可能を覆すことが出来なかった。
その不可能をシャンは可能にして見せた。
「ウェス老。貴方の見解を聞かせてくれないか?」
私にはどう言う原理で、不可能を可能にしたのか見当もつかないが共に先の試合を観戦していた特級魔導師ウェス老なら或いはと質問を投げかける。
「魔法を発動させる為に必要な魔力を大気中から集めて発動させたのでしょう。それなら本人が闘気を使っていようと魔法を発動させる事ができます。それにしても、魔法陣を作るまでの段階は闘気でも問題ないと言う事になりますな……大変興味深い。彼の特級魔導師入りもそう遠くないでしょうな」
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読んでいただきありがとうございます。
最弱認定されている属性魔法を前世の知識を使って最強属性に ~のんびりファンタジー世界を堪能したかったのですが周りが放っておいてくれません~ 塩分過太郎 @rinyo89340141
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