第18話


「やっぱり宿に泊まれるってのは楽で良いね」


移動中、色々あったけど予定通り今日の目的地だった街に到着する事ができた。


まだ、王都から近いからな。街や町、村が割とあるので野宿じゃなくてしっかりとした宿に泊まる事ができる。

その分お金がかかるけど。それぐらいのお金は事前に貰っているからな。


シャワーとかはついていないので濡れタオルで体を拭くぐらいしか出来ないのはちょっと残念だけど。

ベッドで寝れるだけ有難い。


「それでクリス。魔力操作の練習はどんな感じ?」


「えっ!あぁ〜ちょっと動かせるようになったぐらいで、まだまだ魔法を使えるレベルじゃ……」


「そりゃまぁそうだろう。強制的に魔力を感じられるようにしたとは言っても初日から魔力操作が魔法を使えるレベルまで上達する訳無いからな。寧ろ良くやっているからこのままの調子で頑張れ」


「分かったぜ!師匠」


なんと言うか調子の良い奴だ。まぁ、クリスはこれぐらいが丁度いい。

クリスまでカレアみたいな感じだったら肩凝っちゃいそうだし。


「まぁ、明日も朝早くに出発だし。今日はもう練習しなくていいから早く寝ちゃえ」


「師匠は?」


「俺は、少し魔法陣の研究してから寝る」


昨晩、気づいたらオールしてたせいで眠いからホントに短時間だけで、直ぐに寝るけどね。


研究というかロキからの貰い物の性能を試してみるだけだからな。


これに関しては、人目がある場所で試すのはまずいだろう。

使わなくても分かる。


と言うことで、クリスが寝たのを確認してから影収納から鉄インゴットを取り出す。


疾風迅雷のメンバーには鍛冶が出来る人もいるので物資の中にインゴットが有るらしい。



「それじゃ早速〈吸魔〉〈複製〉」


鉄インゴットを指定して複製の魔法を発動させる。

名前から分かる通り鉄インゴットが1つ増えた。


この魔法、魔力さえ用意してしまえばこんな感じで物を増やし放題と言うデタラメ魔法だ。


因みに複製したものは時間で消滅したりみたいな事も無い。

厳密に言うと時間で消滅するしないは俺が自由に決める事ができる。


当然、時間経過で消滅する方が魔力消費は少なくなる。


しかも、物質的な物だけじゃなくて魔法陣とかも複製出来ちゃうんだよね。


影狼の魔法陣を2つ作って2頭作り出すより。

影狼の魔法陣 1 複製の魔法陣 1で2頭作り出した方が魔力消費が少なくなるし制御も楽になる。


ほんとデタラメな魔法だよ。


物を複製する時は複製する物のレア度によって魔力の消費量が増えるみたいだけど。


俺には〈吸魔〉が有るので魔力量についてはほぼ気にする必要ないだろう。


つまり、どんな物でも実質無制限に物を増やし続ける事が出来てしまう。

誰にも知られない方が良いと思った理由はここだ。

試しにカレアの腕を生やすために使ったエリクサーの残りに〈複製〉を使って見たらすごい量の魔力を消費したけど、複製出来ちゃったからな。

カレアの腕を生やすために肩にかけたのは瓶に入っているうちの3分の1程度。

残っているエリクサー増やせるかな〜と好奇心に負けて試してみた訳だけど。複製出来ちゃったよ……

こんなの知られたら絶対やばい事になる。

流石ロキ。ホントデタラメな魔法だよ。


実は複製以外にも使える魔法が増えてるんだけど。これは闇属性の攻撃魔法だから使うのは今度だ。ここで試す訳にはいかないからな。


ホントに眠いし。ここまでだな。


複製魔法に気を取られすぎて、闇属性の攻撃魔法がロキの手によってしれっと増えていることにようやく気づき神界で大騒ぎになったのだった。


ーーーー



「ご主人様、朝からお元気そうで安心しました。昨日はお疲れのご様子でしたから」


カレアは疾風迅雷の女性メンバーと同じ部屋だったからな。

個人的にも、女性と同じ部屋で寝るのはちょっとドキドキするから助かった。


疾風迅雷のメンバーは俺がカレアと別の部屋で寝るのを渋るかと思っていたらしく。

あっさり了承したのに逆に驚かれた。

俺がカレアを雇っている理由は表裏無しに護衛のためだからね?

クリスだって闇属性の魔法に関する弟子にする為だし。


それにしてもエリクサーの効果は凄いな。1滴摂取しただけで残っていた疲れや眠気が吹き飛んだ。

増やせる訳だしと思って飲んでみた訳だけど効果てきめんだったな。

エリクサーが有れば夜は寝ずに魔法陣の研究をたっぷり出来そうだな。


増やせるからと言って流石にエリクサーの使い道としては良くないかも……


それにいくらエリクサーだとしても薬を飲んで疲れを吹き飛ばして睡眠を一切しないってなんかやばい気がするし。


「今日は早めに寝たからね。疲れも残ってないし。元気満タンだよ。それじゃ今日もクリスの魔力操作の指導お願いね」


「私としてはご主人様の護衛を優先したいのですが……ご主人様がそう仰るならおまかせください」


カレアとクリスと話しているうちに宿の正面に幌馬車が止まる。

疾風迅雷のメンバーが御者をしている幌馬車だ。


カレアとクリスが場所に乗り。俺は影狼を作り出して騎乗する。

全員準備が完了した事を確認して未開拓領域に向かって今日も移動を開始した。



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読んでいただきありがとうございます。


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