第3話

主人公の元実家、フィレーム伯爵家を辺境伯家に変更しました。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「うーん。もの凄い面倒事の予感」


魔猪を影収納に仕舞って森の中の移動を続けること数分。


森の中に作られた道を発見した。


これって正規の道なのかな?


俺の知識は属性魔法の適正と魔力量が判明するまでに貴族の後継として勉強していた事だけだから結構穴だらけなんだよな。


だからこの森を通過する道が作られてても全然おかしくないけど……


何となくそう言うんじゃない気がする。


だってこの森の向こうって他国の筈だし。俺が勉強した時は国同士の仲は悪くて魔物の生息する森をと言う緩衝地帯が無ければ既に戦争が起きてるって習ったし。


そんな森に道が有るのは可笑しいだろう。


いますぐ引き返したいんだけど。


うーん1対5で戦闘する集団がこちらに近づいて来ちゃってるんだよね……さてどうしたもんか。


どっちが敵でどっちが味方か判断がしづらい。


そもそもどちらも敵という可能性だってあるし。


いや、待てよ1人の方が使う剣に入った紋章この国の近衛騎士団のものだよな?って事は5人の方が敵?


「なっ!〈影の茨〉」


どうしたら良いのか決められず考えていると

5人の方の1人が魔法で攻撃してきた。


影の茨で防いだけど。攻撃してきたという事は敵で良いよね?


防御に使った影の茨を5人組に向かって伸ばす。

おまけに影狼も突撃させた。

ゴーレムだからね当然戦闘させることも可能だ。


見た事ない魔法に一瞬動きを止めるが、直ぐに動き出す。


まぁ、でも近衛騎士団ってのは騎士の中でもひと握りのエリートしかなれない王族の護衛等をする特別な騎士団だ。

そんな騎士団に所属する騎士の前で一瞬動きを止める何て自殺行為だろう。

ほら、飛ぶ斬撃で1人仕留めた。


仲間がやられたことで騎士の方に意識が行けば影の茨と影狼の餌食になる。


そもそも。あのまま1対5で戦闘を続けていたって勝っていたのは1人側の騎士だったろうし。俺が偶然巻き込まれた事で決着が少し早くなっただけだだと思う。


それにしても飛ぶ斬撃。あれが魔力を変質させた闘気を使った攻撃か。


魔力は有るけど属性魔法の適正を一切持っていない人が魔力を活用するために研究され編み出された技術。

魔力から闘気への変換は一瞬では行えないし変換効率がすこぶる悪いと本には書いてあったけど。


動きも人が鍛えれば出来るってレベルじゃ無かったし。

接近戦では闘気使いに勝ち目は無いだろうな。


因みにこの世界、この世界の人間の身体能力は地球の人間と大して変わらない。


魔物と言う存在が身近にいる為、鍛えている人は多いのでプロスポーツ選手レベルで動ける人は地球よりいるぐらい。


また、レベルの概念も存在しないのでレベルを上げて人外の動きが出来るようになる事もない。


けど。闘気使いは身体強化をする事が可能らしく中々に人間離れした動きをする事が出来るらしい。


この身体強化は闘気使いの体に負荷をかけるので短時間しか使用が出来ないし。

2倍、3倍と身体能力が上がる訳では無いらしい……これも10年ぐらい前の情報だから今もそうなのかは微妙なところ。



「助太刀感謝します。私は近衛騎士団所属

スレイ・ウィムルス。貴方はシャン・フィレームですね?」


10年近く部屋に軟禁されていた俺の事を顔を見ただけで誰なのか分かるものなのか?


「はい。元ですけどね」


「そうですか……まぁ、今はどちらでも構いません。ところでこの道どう思う?」


「レムタス王国の工作ですかね?昨日今日作られた道じゃ無いですよね多分」


「恐らくそうでしょう。なんの為に独自の軍の設立が無制限となっているのか理解しているのでしょうか、フィレーム家は」


本来。貴族が独自の軍を設立するのは色々と制限があり。勝手に設立する事は出来ない。


しかし、他国と面している領地を持つ大貴族辺境伯家は国防の要として自由に軍を設立する事が出来る。

勿論維持も自分でしなきゃいけないから考え無しに軍を増やせば良いって訳じゃないけど。


そんな公爵家ですら認められていない特権を有しているのに、隣国の工作行為を見逃すとは何事だって言いたい訳だな。


これ確実にフィレーム家の責任問題だよね。

いや〜廃嫡されててほんとに助かった。


「因みに、責任問題は貴方も関係有りますよ?自分で言ったでしょう昨日今日作られた道では無いと」


oh......

この道が作られている時はまだフィレーム家の人間だったから俺もガッツリ関係してますよってか。


「俺にどうしろと?」


「丁度、優秀な魔法使いの後衛が欲しかったのです。敵の殲滅のお手伝いをお願い出来ますか?」


これがハイorイエスってやつか。


まぁ、この国から出ていくなら逃げても良いかも知れないけど……


いや、近衛騎士のスレイさんから逃げるのは無理だろう。


断ったら敵として処理されるだろうし。


「そうですね。是非お手伝いさせて下さい」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


読んでいただきありがとうございます。









  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る