第8話
「取り敢えず。未開拓領域の大気中の魔力濃度を下げる魔法はこれで完成かな」
元々、作っている途中で俺の今後の生活で直ぐに必要になるような魔法じゃないなと思って中断されていた内容だったので、スレイさんのお願いを了承して1週間ぐらいで取り敢えず発動するだろうと言う段階まで持ってくる事が出来た。
こっからは実際に魔力濃度の高い場所に行って試して魔法陣を最適化していく作業だな。
「今すぐ実験をしに行きたいところだけど……折角自由の身になった訳だし。王都にいるんだから観光をしてみるってのもありだな」
折角軟禁生活から開放されたと言うのに部屋に籠ったままってどうなの?と思い魔法の実験のためで無く、観光をする為に外に出ることにした。
スレイさんにその事を伝えると護衛をつけられてしまった。1人でゆっくり観光したかったんだけどな。
まぁ、マグマランスも上手く発動した事もあってちょっとした有名人になってしまったからな。
1人で王都を歩き回るのは危ないかも知れないからな。護衛をつけられた事に対して文句を言ったりはしない。
「月の女神神殿か……」
月の女神は闇を司る女神。闇属性の適性を持ってるんだから1度ぐらい祈りを捧げた方がいいかなと思い月の女神神殿の中に入る。
(あっあっ〜聞こえてるかな?)
神殿の中に足を踏み入れた瞬間頭の中に直接声が聞こえてくる。
(うんうん。ちゃんと聞こえているみたいだね。私は月の女神。君とは話がしたいと思ってたんだ)
マジか、そのパターンか。いやまぁ、お決まりの展開かも知れないけど。実際神に話しかけられるとかビックリってレベルじゃないぞ。
(いやいやごめんね〜。闇を司る女神としては新しい闇属性の魔法を沢山開発している君には感謝をしているし話をしたいと思ってたから。神殿に入ってきた!と思っていきなり話しかけちゃった)
闇を司る女神からしたら、闇属性はぶっちぎり最弱属性とか言われている現状面白くないのは当然か…
と言っても俺は作った闇属性の魔法を他人に教えるつもりないから、闇属性が最弱属性を脱却出来るかと言えば微妙だと思う。
(勿論タダでとは言わないよ。それに大気中の魔力を吸収して圧縮、魔石を生成する魔法アレは個人が持つには効果が凄すぎるかな。この魔法1つ手に入れようと戦争が起きる類の魔法だよ。魔物の湧きを抑制するだけじゃなくて魔石まで生成出来るなんて一石二鳥どころの話じゃ無いからね)
そうは言っても魔力濃度を下げるには魔力を集めるだけじゃなくて、どうにかして消費しないといけないって考えたら結晶化させて魔石にするのが一番楽だったんだもん。
魔力を圧縮するだけで勝手に魔石になってくれるし。
確かに魔石生成魔法に関しては個人が持っているのは色々不味いか。
この世界、魔物の体内に確実に魔石が生成される訳じゃなくて、確率であったり無かったりするから、放置しておくだけで確実に魔石が手に入る魔法の存在はヤバすぎる。
魔石は魔導具の材料になったり電池みたいな動力源にもなったりとかなり需要が有るからな。
オマケに魔物が湧かない土地を作る事も出来ちゃう訳だし。
(そうそう。だから魔石生成魔法は神官魔法に分類しちゃおうかなと。勿論、お礼は弾むよ?聖痕だったりエリクサーだったり)
神官魔法は神に使える神官のみが使える魔法の事だ。
神官魔法に分類されてしまうと魔法陣を知っていようと神官以外に発動できなくなる。
因みに地球だと神官は公的に任命された神職だけど。
この世界だと神から任命された神職の事を指す。
俺は神官じゃ無いから魔石生成魔法が神官魔法になっちゃうと使えなくなっちゃうけど。
俺のせいで国家間の戦争が勃発するとか嫌なので、ここは大人しく月の女神の提案に乗っておいた方が良いだろう。
と言うか神なのにこちらに選択させてくれるだけこちらに配慮してくれてると思う。
やろうと思えば勝手に神官魔法に分類する事だって出来るんだし。
(目先の利益に目を眩ませて、長期的な利益を逃す程、愚かじゃないからね私は。
それと聖痕持ちは神官魔法が使えるから君も魔石生成魔法は使えるよ?と言うか君が使えなくなったら、魔法陣の最適化してくれないでしょ?)
まぁ、確かに自分が使えないならこれ以上最適化するのは良いかな……ってなってたと思う。
と言うか聖痕ってそんな効果もあるのね。
神の加護が目に見える状態になったものとしか知識が無かった。
(私の聖痕だったら闇属性の魔法の効率が上がったり月の女神の神官が使える神官魔法が使えるようになるよ。後、月の女神神殿が何かあった時に全力で力になってくれる)
魔法ひとつで、そんなものをくれるって流石神様だ。
そもそも、何も貰えなかったとしても月の女神の提案を断った場合のデメリットが大きすぎるから断ら無かったと思うけど。
聖痕だけじゃなくてどんな傷でも治す事が出来るエリクサーまでくれるって言ってるし月の女神の提案を受けさせて貰おう。
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