勇者転生を拒否したら、バグ扱いされた。

　今までの人生は真面目で正義を重んじ、皆に好かれるような生き方だった。会社では信頼と期待を受け、34才独身だったが、それなりに人生は充実していた。ところがある日、東条正義（とうじょうまさよし）は台風で氾濫する川から溺れていた老人を助け、そのまま濁流に飲み込まれ絶命した。

　そして「生きるとは自分の命を第一優先することだ」と学んだ正義は、その想いを残したまま、天界へやってきた。天界に住む女神から次の転生先を告げられた。「勇者の器として魂が成熟したので、勇者転生し魔王を倒して英雄となる人生を歩んでください」と。しかし、正義は勇者になることを断固拒否する。

　無理にでも勇者への転生を強要する女神と自分の命を危険にさらしたくない正義。どちらも意見を譲ることなく平行線をたどった。そうこうしているう…続きを読む