第15話 トップアイドルの苦悩1



 こんうみ〜 メタライブ所属、アイドルVTuberのあすのうみです。配信でもないのに頭の中にこの挨拶が出てきてしまって困っています。といってもこれはホントの問題では無いです。ホントの問題は別にあります。

 有難いことに、うみは配信していれば生きていけるぐらいに動画や生配信を見ていただけています。事務所のみなさん、画像や動画を作ってサポートしてくれるみなさん、うみを応援して支えてくれる海人うみひとのみんながいて、うみの生活は成り立っています。本当にこんな世の中に感謝です。感謝なのですが……

 最初うみ独りで始まったメタライブは、大きくなるにつれて沢山のアイドルVTuberを送り出してきました。つまり仲間が沢山いるということなのです。同じ悩みを共有できる仲間がいるということです。本当に有難いことです。だと言うのに、言い知れぬ寂しさがうみの心を波立たせます。うみだけに!

 寂しさから錯乱して寒いギャグも出てしまうくらいです……そんなこと無かったです、いつも寒いギャグは言ってます。

 独りで始まって、独りだから頑張ってきて、仲間が増えても「みんなを引っ張って行かなきゃ」とか「みんなに頼られたい」とかいう思いで頑張って、次の記念配信があるからとかチャンネル登録者数がもうすぐ何人とか色んな理由で走り続けてきました。

 5周年をもうすぐ迎えるにあたり、後ろを振り返ってみると、遠くまで来たなと感じています。そこには色んなものがあり色んな人がいます。これからもまだまだどんどん増えていきそうです。横を見ると、遠くに同じように走っている人が見えます。そして、前を見ると七色の道が見えます。うみが見るこの世界はこんな感じです。沢山の人が居る世界。うみはその先頭近くを歩いている、それがうみの歩く道だと思っていました。

 ただ、この5周年を迎える時期だからこそなのか、不安と共に寂しさが湧き上がってきています。協力しくれている方々に相談は出来ます。でも、何か足りないような、埋められない何かがあるようなそんな気がしています……うみのすぐ近く──触れ合える距離には誰もいないと感じてしまっています……うみは友達が居ないノーフレンドっぽいです。うみをホントに励ましてくれる人は居ないのです、ノーフレなだけに!

 でもいつも通り、周年記念ライブをして、みなさんの協力の結果最高のライブをして頑張ったーって思える日になれば良いなと前向きに考えようとしてます。成功させたい思いや裏切りたくない思いで、自分を奮い立たせて日々進んでいっています。

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