配信世界に入り込んだVTuberが非現実を楽しむ話

第33話 配信世界での活動結果6

　そして動画は、最初のシーンに戻ったと思ったら、落下時や要所要所での心拍数の変化がグラフ化されていたり、叫び声が比較されてどれもが違うことを説明したり、叫び声にエコーがかかってることを示したり……これ、切り抜き動画じゃなくて解説動画だったみたい。

　解説してくれてるのは、わたしの配信としての凄いところだって！　世界観の作り込みや表現の緻密さだって！

　あぁ……嬉しいなぁ……

　今までの配信で絵画の世界に入り込む世界観を作ってきた甲斐があったって思えるよ！　わたしが表現をしたいものを見てもらえてるって感じるよ！

　本当に世界に入り込んじゃったから、ある意味チートなところはあるんだけど、心拍数計を表示したのもゲームの世界に入り込んだリアル感を出す為だったから、リスナーさんにその理由に気付いてもらえてるって、やって良かったなぁって思えるよ。感慨深いって言うのかな……心にジーンと来て満たされた気持ちになるよ。

　配信者には配信の目的があって、それに共感してくれるリスナーさんがいる。やっぱり配信の世界はそれらで成り立ってるんだよね。どちらもが居て、お互い通じ合うから成り立ってるんだと思う。

「ここまでしっかり見てくれて、泣けてくるぐらい嬉しいよ……ありがと」

　拾われたい落穂「【￥1,000】死んだ」

　撒かれたい種「報われるぅ！」

　響き渡る鐘「しっかりしろ！　もうひとつあるんだろ！」

　希望の向日葵「表情こまかわいい……」

　昼下がりの踊場「確かに……」

「あはは……やっぱり配信者冥利に尽きるなって思って……もう、わたしが感動したぐらいでみんな反応大袈裟だよ」

　拾われたい落穂「はにかみかわいい」

　撒かれたい種「照れかわいい」

　響き渡る鐘「感動に感動」

　希望の向日葵「かわ」

　昼下がりの踊場「かわ」

　そんな言うほど？　もちろん嬉しいけどね。

　さっきまでのちょっとギスってた感じもなくなったし、素直な感想を伝えて良かったなって思うよ。

　あと、見る人によってわたしらしさというのが違ってて面白いよね。色々なことに気付かせてもらえる。

　じゃあ、最後の動画に行ってみようか！　行ってみるかー……最後のはアレだから気が重め……

　次は地図ゲーのあのシーンなんだよね……話題性を上げるためにやったわけじゃないし、わざとじゃないし、失態を見られる恥ずかしさがあるから、なんだか居（い）た堪（たま）れない気持ちになってるんだよね。

　あっ……！　今更だけど……非公開にすれば良かったんだよね？　しまったなぁ……あの時はホントに気持ち悪かったから、気が回らなかったんだよ……

　因果応報ってことで、諦めて見てみよう。