第25話 配信世界での出会い4
つまりロメちゃんは、お披露目前だからキャラクターの路線変更しようとしていたと。
「あー、だから、非公開配信で練習して仕上がりを見てたってわけね。そこにわたしが入ってきて、邪魔してるってことだね。益々申し訳ない……ごめんね」
「いえ、びっくりはしましたけど……そういえば、理由を聞くために通話繋いだんでしたね?」
そうだった……ロメちゃんに押されて説明できてなかったね……では!
「そうそう。この近くを散歩してたら、アンバランスな印象の配信劇場を見つけたから寄ってみたのよ。周りから眺めてたら、中でロメちゃんが壁に向かって喋ってるからさ、何してるんだろって気になって入ってみようと思ったんよね。じゃあなぜか入れちゃって、しかも通話まで出来ちゃってるって状況なんよ。最近ちょっとわたしの環境が変わってね、知らないことまで勝手に出来るようになっちゃってて、非公開の配信に入れるのも、勝手に通話繋げられるのも、その内の1つみたい。出来るようになってしまったことが色々分かって助かったわ」
誤魔化したいこともあるから多少早口で一気に説明させてもらった。
「散歩……配信劇場……やっぱりハイルさんは独特の表現されますね? メインコンテンツの通り、いつでも配信の世界の中にいるスタンスなんですね……ほわ〜 見習わないと……」
いや、何を見習うことがあるの!? そうじゃないんよ。
配信世界にいる今のわたしの感覚で喋っちゃったのは謝るけど、納得して欲しいのは後半の変な能力の方なんだけど……
まあ、いっか。
「それで、キャラ変は上手くいったの?」
「あー……それが……おーほっホッホ! 一原ロメですわ──」
「ぶふぉ! いや、ごめん、笑って……裏声がどっか行っちゃってるし、今の格好に似合わないしで、笑うしかないわね」
「そうなんです……そもそも声が低いから、高い声を出そうと思っても全然上手くいかなくて……このままでは配信始められないんじゃないかって不安で仕方がないです……」
口をへの字に曲げて、しょんぼりと眉を下げるイケメンのロメちゃん。これはこれで刺さる人がいるのでは?
無理してお嬢様系をしなくても、普段イケメン女子だけど時々弱ってるのとか、ギャップがあっていいのでは?
「男装系の構想はどんなだったの?」
「名前も決めてなかったんですけど……こんばんは、お嬢ちゃんたち、今日も僕に会いに来てくれたのかい? 嬉しいよ、ありがとう」
「ぅわ〜 様になってるぅ!! 耳をくすぐる甘い声でめちゃくちゃカッコイイと思うんだけど! ASMR向きっぽい〜」
女声としては低めの落ち着いたトーンで語りかけられると、聞いてる側の心まで落ち着いてくる。でも、同時にカッコイイと思って興奮してくる不思議。
あ、それは、わたしの趣味嗜好の問題か。
「そ、そうですか……! そんなこと言われたの初めてで、嬉しいです! 自分リアルでは──」
「ストォーップ! ここではリアルの話は無しだよ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます