第19話 配信世界で現実に酔う2
2ステージ目にやって来ました。
そして、映し出される海。
「海だね〜」
今回は一枚写真じゃなくて、360度周りを見渡せた。ようやく世界に入れたって感じ。
後ろを振り向くと有名なアメリカの巨人像が立っていたけど……わたしの感覚では、このゲームの世界は歪んで見える。
「はわ〜 キュビスム程ではないけど表現主義的な雰囲気だね? 像が今にも倒れてきそうだし、平衡感覚が歪んでフラフラする〜」
拾われたい麦穂「ハイルちゃん的にはそうなるのか」
撒かれたい種「さすハイル」
響き渡る鐘「フラフラかわいい」
混沌極める街「ムンクかな」
干された時計「そんなに?」
少女が巻いた青ターバン「オレたちの歪み補正ハンパない」
チュートリアル2問目は周りを見回せるものの、歪んだ写真が使われているから、そんな歪んだ世界に入ってしまうと真っ直ぐが分からなくなるみたい。
そういえば、過去にトリックアートを展示した美術館に行ったけど、真っ直ぐ歩けない部屋や真っ直ぐ立てない部屋に入った時に、似たような感覚を感じたことがある。この地図アプリの世界はそれを何倍にもしたぐらい、わたしの平衡感覚を奪っていく。
ちょっと気持ち悪くなってきた……酔ったかな……
「とりあえず何かは分かったから、地図見よう地図」
地図は落ち着くねー
気持ち悪さがあるからか、ちょっと地図の操作が│
不安が残るけどチュートリアル2問目もクリア出来た。
そして3問目。
目の前に広がるのは海。
「また海か〜」
混沌極める街「少し行けばすぐ分かるよ」
干された時計「これも教科書に載ってるから」
「何気にプレッシャー?」
3問目は移動できるようになったので、歪んだ世界を見回してフラフラしながらも、前に一歩進んで見る。
その瞬間、景色が更に歪むように流れて、さっきまで居たところから離れたところに立っていた。
急激に景色が流れ、視覚運動効果でわたしは倒れ込んでしまった。
「あいたっ!」
拾われたい麦穂「大丈夫?!」
撒かれたい種「大丈夫?」
響き渡る鐘「かわいいで済まなかった!」
混沌極める街「何してんの?」
干された時計「この子ヤバない?」
少女が巻いた青ターバン「これブラウザゲーやんね?」
粗い地面の画像がアップになり、更に平衡感覚が狂う。
慌てて視界を戻して、ぐるりと回った画像に、気持ち悪さも加速していく。
ぐるぐる視界が回って……うっぷ……吐き気が……
やばい、止めないと!
思考が空回って上手く操作が出来ない!!
思考で操作出来るからって、緊急時を考えたらコントローラーみたいなインターフェイスは必要だって!
ほら、間違って、めっちゃ移動して……! うっ!! 配信止めれてないからそれはマズイってぇぇぇー!! ああ、ダメだめぇぇぇーーー!!!
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