第5話 配信世界の命1
この世界が大事というのは、わたしが存在し続けられるかどうかが関わってくるから。意識が死んでいない以上わたしの主観としてはここで生きているわけだし、こんな面白い世界に入れたのだから余計に死にたくないと思えてくる。だからここで生き続けられるかどうか?が気になってくる。
例えば、わたしがデータで存在するのだとしたら、どこに保存されていてどこで動作しているソフトウェアなのか?とか。自分のPCだったら、データが消えちゃったらどうなるのか?とか、停電したらどうなるのか?とか思っちゃうし、どこかのサーバーにいるなら運営会社は知ってるのか?とか使用契約はどうなってるのか?とか。どれかひとつでも問題が起これば無くなってしまう綱渡りの余命宣告されたような状態なのか、それとも止まるとか消えるリスクが全くない不老不死のような状態なのか。生存戦略としては、複数サーバーにコピーして置いておいた方が、ひとつがダメになってもデータが残ってリスクが減るんだけどね。
わたしのアバターはゲーム開発にも使える無料ソフトウェアを作って、これまた無料のアバター公開サイトに非公開でアップロードしてあるものだから、ベースとなるデータは支払いが滞って契約が切られてデータが削除されるようなことはなさそう。サービスがいつまで続くかは分からないけどね。そう考えると、そのアバター公開サイトにわたしはいるのかな?
でも、OBSのバックアップなんてアップロードした覚えないけど……そういえば、世界最大手で検索サービスが売りの会社が運営してるストレージ&クラウドサービスにアップロードした覚えがうっすらあるね。同社が手掛ける地図サービスで確認してみると──うん、間違いないみたい、過去に同社のサーバーが出来るって噂になってた場所を示してる。
あー、だから、配信部屋と劇場が一体になってるんだね。わたしが使ってる動画配信サービスも同社が手がけてるから。ここにデータが在りさえすれば安心な気はするから……2つ目の命なんて普通は有り得ないからバックアップはしない方が良いかな?
そもそも丸ごとコピーしたら、もう1人わたしが出来ちゃうんだよね? わたしとして振る舞うもう1人のわたしが。それってわたしじゃないよね? やっぱりわたしが死んだらわたしの主観としてわたしはいなくなってしまうわけだよね。んー、バックアップの意味あるかな? 常にリンクしてれば良いのかもだけど……常時通信してるソフトウェアがサーバーで動いてるとか、運営側からしたら怪しいから止めたくなるよね。
うん、バックアップはやめよう。
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