第8話 配信の壺2
「ひぃやゃあぁぁぁぁーーーーーーっ!!」
わたしの叫びが岩山に木霊する。
心臓がバクバク言ってる! 心拍数が160もいってる!! いや、ほんと、現実でゲーム再現されるって怖い!! 謎の衝撃吸収力で痛みはないけど、普通に考えてビルの2階ぐらいの高さから落下するのですら怖いのに、今の高さどのぐらい? ねえ? 瓦礫の上から最初のところまで落ちたよ?? 遊園地のアトラクションの比じゃないよ! 背中がゾワゾワする浮遊感が数秒間続くとか吐きそう!
撒かれたい種「心拍数!!??」
拾われたい落穂「迫真の悲鳴!大丈夫?」
響き渡る鐘「ハイルちゃんすげー!!」
耳を塞ぎたくなる橋「悲鳴スゴすぎで草 ハイルちゃんこのゲーム初見なの?」
掲げられた三色旗「初見にしては上手い!悲鳴は凄いけど」
ありがたいことに、ゲームの中にいてもコメントを目の前に表示できるし、自動的に読み上げられて聞こえてくれるし、わたしの配信でコメントくれる人なんて数人なんだけど、反応するのも難しいぐらいに腕動かすの大変だし落ちた時の恐怖が凄い!
人は何のために山に登るのか? 落ちるためなのか?
あ、欠かさず見てくれてる人もいるからコメント返しとこう。
「喉は大丈夫。ありがとう」
ちょっと声が震えてしまう。
めちゃくちゃ力いれて握ってた特大ハンマーから力を抜く。少しハンマーに身体を預けて一旦全身から脱力。
「はふぅ……」
息を吐き出せば落ち着いて来た。
「なぜか水の溜まった壺の中に下半身がハマったまま外れることないし、ひっくり返ることもないし、なぜか衝撃も吸収されるけど、この落下感はほんとに怖い! 動けなくなりそう……」
落下の浮遊感を感じたら、身体が硬直してハンマーを動かす余裕が一切無くなってしまう。
拾われたい落穂「無理しないで!」
撒かれたい種「ゆっくりで良いよ!」
響き渡る鐘「感受性がやべー」
良くわたしの配信に来てくれる3人が励ましてくれてる。ん? 1人は励まし違うか。でも、すかさずコメントくれるのは一緒。ホントにありがたい。
耳を塞ぎたくなる橋「落ちる時にハンマーを右に出したままにすると引っ掛けられることもあるよ」
掲げられた三色旗「重力から解き放たれると良いね!」
希望の向日葵「ネタバレやめい」
いつもより見てくれてる人が多いような?
このゲーム、わたしはプレイはしてこなかったけど、推しのうみちゃんもやってたし最後がどうなるかは知ってる。
なるほど、このゲームはここまで重力の所為で苦労してるんだから、束縛から解放されるために山を登っているのね。
「みんなコメントありがと。少しずつ慣れてきてると思うからクリアは出来ると思う。どのぐらい時間かかるかは読めないけど。あとプレイしたことなかったけどエンディングは知ってるから、ネタバレ大丈夫だよ」
わたしは気を引き締めて山に臨んだ。
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