第22話 配信世界での出会い1


 中には、門と同じような豪華さの部屋で、机に向かって女の子が1人座っているのが見えた。

 この豪華な部屋が、多分この子の配信部屋なんだと思うけど……人が居るってことは、配信してるってことかな?

 ますます気になってきたから、わたしは豪華な門まで戻って、劇場の中に入ってみた。


 劇場の入口を開いたらすぐに客席という作りで、外から見た個人宅の印象通り、客席はとても狭かった。30人ぐらいでいっぱいになってしまいそう。

 舞台はというと……カーテン式の緞帳が閉まっている。

 どういうことだろう? 配信しているなら緞帳は開いてるものだと思ってたけど……

 緞帳を見透すように見つめていると、その先に女の子が1人、机に座ったたまま緞帳に向かって話し掛けているの見えた。

 客席には声は聞こえてこない。


「え? 何、してるの??」


 女の子の様子が異様に見えてしまったから、ついつい声に出してしまった。

 けど、やってから後悔した。

 なぜなら、女の子が目を見開いて驚いているから。

 ここで声を出すとコメントとして反映されちゃうんだよね……間違いなくコメントを見て女の子は驚いたんだと思う。


「だ、誰!? ま、間違えて公開しちゃってる?! え、そんなことないんだけど……」


 何となくリスを思い浮かべてしまう女の子の仕草に、慌てているはずなのに落ち着いて聞こえる少し低めの声。

 ギャップも相まってとても可愛らしくて良いと思います。

 じゃなくて……どうやら非公開の配信してたみたい。そりゃ驚くよね、非公開の配信にコメントついたら。

 いつの間にか緞帳は開いていて、わたしは女の子と対峙していた。これはもしかして、この世界の不思議な力で、わたしにだけ公開設定に変更しちゃったやつかな……

 また一つ新しい力が……


「ごめんなさい、驚かせるつもりは無かったんだけど……」


「ひっ!? なんでコメント出来るんですか?!」


 余計に怖がらせてしまった……こういう時は自己紹介からかな。


「わたしはVTuberの│絵中えのなかハイルだよ。絵画の世界に入り込むVRを中心に配信してるの。今の状況を説明したいんだけど、何か会話出来るアプリ入れてる?」


「絵中ハイルさん! 最近騒ぎになってる方がなんで……」


 は? 騒ぎ? 昨日のはやらかしたと思ってるけど……昨日の今日で流石にそれはないでしょ? ないよね?

 可能性が高いのは──


「歌みたのこと?」


「歌みたもそうですけど、壺も地図ゲーもバズってましたよ? 本人なのに知らないのですか?」


 余計に警戒させてしまったみたい……どうしよっかな……

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