第二十二話 ノーア神獣飼育人
森の中に3つの影、恐怖を感じた動物たちは逃げ、聞こえるのは2体の獣の息遣いと女の怒気を孕んだ声のみだった。
「シロ、クロ!お前達、あの女の居場所、探してきな!」
「「はっ!」」
静寂を切り裂く足跡、揺れる枝葉の間から1人の男が現れた。
「なんでアンタが来たんだよ…」
「本部からの命令さ、それにサリバン。悪いことばかりじゃないさ。もしかしたら岩の形が少々変わってしまうかも知れない。」
「成程ね、そう言う事なら認めてあげる。フロン。」
「オレはしばらくここに居る。魔獣が暴れ出したら抑えといてやるよ。」
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「そういえばリリスさんはこちらと同じ言葉を使っていたな。」
サジが疑問に思い口に出した。
「学者だからね、幾らか話せるんだと思う。」
するとルネが聞いてきた。
「それはそうと次はどこに向かうんですか?」
「さっきの話から考えるとオウガス山脈には異能文字の手掛かりがあると思う。それに、まえ、父親からの手紙がそこからきた。もしかしたら何か分かるかも。」
「そうか。なら次の目的地はオウガス山脈!山自体はここからも見えるあの山らしい。」
突然高らかな笑い声が林の中から聞こえてきた。
「ハーッハッハッハー!モルガ、アクア、見よ!この足跡!」
「大きな獣ですかね。放っておくわけにはいきませんね。」
「倒すのはいいっすけど給料出ます?」
「まあ待て、どうやらお客のようだ。」
色とりどりな鎧の男とその周りにいた2人がこちらを向いた。
「あっ、あの。何やら声がして…」
「スプライさんが大声出すからですよ。すいません皆さん。」
若い男が頭を下げた。
「私達は商人護衛隊。この方が隊長のスプライさん。私がモルガでこの人がアクアさんです。」
「よろしく、異国の旅人たちよ。」「よろっす。」
鎧の男が手を差し出してきた。その手を握り返し答える。
「私はトラン、この2人は仲間のルネとサジです。あなたのことは聞いたことがあります。確か霧隠と。」
「ああそうだ。ふむ。あとの2人はここの言葉は分からないのだろう。ところで!ここであったも何かの縁。この足跡について知ってることはないか?」
「足跡?」
足元を見ると大きな足跡がついている。四足歩行の獣、かなり大きいもののはずだ。
「これって……」
「トランさん。この足跡、あの時の狼に似てませんか?」
「もしかして、いるのかもしれない。まちの方に行ってみよう!」
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