第三話 研究員リーサ

 「リーサ!」


 「この目盛り、使いずらいな。ここは任せるがいい。そいつの手当を。」


 「わかった!よろしく!」


 ディードの方へかけて行く。村のみんなも逃さなくては。


 「困ったね。ついでに遊ぼうとしただけなんだけど。」


 「ならさっさと帰ればいいじゃないか。」


 「目撃者が居ないに越した事は無いのよ。」


 「あらそうですか。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 「ディード!!大丈夫!」


 「ああ、、大丈う、ゴホッ!」


 何とか体を起こしたが傷は深いようだ。肩を支えみんなが集まる村の外れに向かう。


 「すまねぇ…。」


 「問題ないよ。それより休んでて。薬師さんお願いします!」


 「ああ。任せてくれ。君を怪我が多い。休んでいきなさい。」


 言われて気づく。狼との戦いなどで牙に掠ってしまっていたのだろう。


 「いいえ、大丈夫です。それより他のみんなの体調をお願いします。」


 リーサの元へ駆けていく。


 「ああっ、待ちなさい!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 「喰らえ!連鎖爆弾!」


 激しい爆発音が辺りに響く。


 「一体どれだけの道具が入っているんだい!さっさと倒れな!」


 「リーサ!」


 「おお助かった!頼みがある!(背後の木を使ってコイツを転ばせ!)」


 「んん?何て言ってんだい?何処の言葉だ!?」


 そうか。普通の人なら一つの言語しか理解する事は出来ない。

 

 「わかった!」


 「何をする気だい!喰らいな!」


 口元に炎が集まる。


 「おっと、貴女の相手は私だよ!」


 空に大量の粉が撒かれる。


 「もしここで火を放てば貴女諸共爆発するという寸法さ。」

 

 「ああっ!相手してやるよ!」


 「そう来なくては。」


 リーサが戦っている後方。二本の木が適当な間隔で立っている。


 「よし、ここなら!製作make!チェイン!」


 木の間に鎖を張る。リーサの指示通り準備を進めた。


 「リーサ!!」


 「おお!いい感じだ!手袋を付けて手を擦れ!そしてコイツを飛ばすからその罠に!」


 「了解!!」


 「いくぞバケモン!袋を喰らえ!」


 「袋?何をする気だい!」


 リーサは袋を広げると突如札を空に投げた!


 「解放release?」


 すると麻袋の中から大量のガラクタが現れた!


 「質量も体積もおかしいだろ!お前も能力者だね!」


 「どうだろうねぇ!少年!」


 「製作make!チェイン!」


 物量に押され、下がってきた魔獣の足に鎖を巻き付け、木に巻きつけた鎖に接続する。


 「なっ!」


 「グゥゥアァァ!」

 

 「さあ少年!やりな!」

 

 手袋に今までとは比べ物にならない程の力が溜まっている。


 「製作make!ハンマー!!」


 「シロ!クロ!」


 「「はっ!ご主人!」」


 「「bite!!」」

 

 「なっ!速い!」


 ガキン!

 

 木諸共鎖が噛み切られてしまった!


 「全く驚いたよ!お望み通り今日は帰ってやるよ!」


 奴らは途轍もない速度で闇に消えていった。いつの間にか夜になり、炎は消えていたようだ。


 「トランよ、何があったのじゃ?」


 「村長!」


 トランは今までのことを全て伝えた。鐘が壊れていたこと。魔獣が封印されていたこと。そして、謎の力を手に入れたことを。


 「何と!そのようなことがあったのか!口伝がいつの間にか間違って伝わっていたとは…。」


 「奴らの狙いもその魔獣のようでした。」


 「ううむ、わしは今から村民達にそれを伝えてこなくてはならない。悪いが近辺を見回ってはくれぬか?」


 「わかりました村長殿。私達にお任せください!」


 村近くの森の中。木々がザワザワとなり、まだ少し焦げた匂いが漂っている。灯りを持たなければ隣にいるリーサの顔すらも見えないだろう。


 「少年よ。君はもしかして洞窟の中で壁画を見たかい?」


 「なんでそれを!」


 この村の生まれで無いリーサは知らないはずだ。リーサは立ち止まり、話を続けた。


 「君の母上がここで研究していたのは古代文字…それも異能文字と呼ばれるものだ。」

 

 「君にそれを知る決意があるかい?」


 

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