第十一話 洗い洗われ

 「其処の射手!私と勝負願う!」


 100mほど離れた小舟の上。波のような模様の袴を身につけている男の名はシオサザ。とある町では指名手配をされている。彼は立ち上がりさらに呼びかける。


 「其方が来ぬなら此方から!洗浄wash!岸洗う大波!」


 するとたちまち海がうねり船をこちらに流してくる。


 「この距離なら弓の方が有利!佩帯cover!炎帯矢!」


 赤い炎を纏った矢が風を切り、一直線にシオサザに向かい飛んでいく。


 「船を焼いて海に落とそうと考えたか!だが!洗浄wash洗い流せ!」


 突如立ち上がった波により炎の矢は撃ち落とされてしまった。

 

 「その程度、私には効かん!洗浄wash!ハイプレッシャー!」


 シオサザが指を鉄砲の様に構えるとその先端から水が鞭の様に飛びだした。


 「遠距離合戦なら負けはしない!佩帯cover!大風呂敷!そして、雷帯矢!」


 「視界を遮ろうと無駄ァ!」


 シオサザの水の鞭が風呂敷に当たると反射のようにシオサザは技を解いた。


 「まさか、電気を仕込んだか!」


 「ああ、その通り!そして気付いていない様だが矢はもう一本ある!」


 風呂敷を突き抜けて、止める暇もないほど速く炎の矢がシオサザの船へと突き刺さる。


 「やるではないか!だが!最早其処は私の波の射程範囲だ!洗浄wash!全力で洗い流せぇ!」


 「いいや!こちらの勝利だ!」


 船を押しつぶさんとするほどの大波がサジの前に立ちはだかる。しかしながら!


 「佩帯cover!音帯矢!」


 高く上がった音帯矢は風を切り裂きとてつもなく甲高い、やかんの水が沸騰した音を何倍にもした様な音を上げる。


 突如大砲の弾が海から飛び上がる!


 「こっ!これは!仕込んでいたのかぁ!!」


 「そうだ!船が壊れたことでお前がこちらに攻撃したならば!そのただの板切れになったお前の船は沈む!」


 シオサザの船は中央に大きな穴が空き、最早後数十秒で沈んでしまうだろう。


 「あの戻る砲弾かぁ!だが!この船ごとぶつけてやらぁ!」


 「その武士道キャラも崩れてきたな!逆上するのを待っていた!佩帯cover!雷帯矢!」


 怒りからか真正面より向かってきたシオサザは最早ただの的に過ぎなかった!

 

 シオサザが波を立ち上げるより前に、海鳥のように素早くサジの一撃が肩を打った。


 「かぁっ!」


 「死にはしない、其処で暫く寝ててくれ。」

 

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