繋がる

第二十話 文字を知る者

 「やっとついたー!ここがエイプルですか?」


 エイプルはフィビュラよりも栄えており、二階建ての建物も多く見えた。奥の方には高い塀に囲われた宮殿のようなものも見える。長い船旅で海の香りはもはやないが、代わりにオリーブの匂いが漂っている。

 

 「マーチに行くのならここから北に向かうといいでしょう。」


 「ありがとうございます!ところでトラン、君の母君の知り合いはどのような人か分かるのかい?」


 「…………」


 「まさか、トランさん……何も聞いていない?」


 (リーサは何か言っていたか?いや無い!)


 「……何も分かりません、、、研究者だということしか、、、」

 

 サジがあごを触り暫く考えたのち言った。


 「とりあえずマーチに行こう、話を聞いていればそのうち会えるさ。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 「研究者ぁ?この村に学者さんがいるんか?」


 「知りませんか、、、ありがとうございました。」


 村の中央の変わった形の岩の前で聞き込みを終え、戻る。


 「こっちで聞いた限り情報は無かった。どうしよう。」


 「こっちも全然です、、、というか私達、言葉通じませんから……」


 3人で迷っているとこちらに老人が歩いてきた。


 「お前さん方。学者を探しておると言ったな。この森の奥に小さな小屋がある。そこにいってみるといい。」


 「そこにいらっしゃるんですか?」


 「ここにいるのに見つからんならそうなんじゃろう。」

 

 「ありがとうございます。おじいさん。」


 「なに、感謝はいらん。全て岩神様のご意志じゃ。」


 老人はその変わった形の岩を見ながら答えた。


 「岩神様は幾年か前、この村に現れたと言われている。破魔の力を持った大岩じゃ。かつて現れた災厄を封じたとも言われておる。」


 「だから岩神様、、、分かりました。気をつけて行ってきます!」


 「うむ。そういえば、一つ伝えておこう。そこにいる女性は、、、とてもグラマラスだ!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 「ここが学者さんの家、かな?」


 壁には苔が生え、窓をツタが覆っている。何故形を保っているのかと思ってしまう程である。


 「だれかいらっしゃいますか?」


 戸を叩きながら声をかけるが、返事はない。しばらく待っても反応がないのでもう一度。と思うと。


 「御免なさいね。散らかってて。」

 

 扉の奥からは白衣を纏った女性が現れた。


 (確かにかなり、、、いや!そうじゃなくて。)


 「あら、いつものお客とは違うのね。いらっしゃい。何か用かしら?」

 

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