第二十一話 研究者リリス
「トランと言います。私の母、スピカさんについて教えていただきたく参りました。」
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「成程、リーサの紹介ね。あなたの母上、スピカさんの事を聞きにきたのね…」
「母について何か知っていることはありませんか?」
彼女は机の上を片付けながら答えた。
「私、そういえば名乗ってなかったわね。私はリリス。異物研究家よ。」
異物研究。いつだかリーサがいっていた。このグローブも元々は太古の遺物だったはずだ。
「あなた達は異能文字についてある程度の知識はあるわよね。」
「はい、ここまでも何人か会ってますし自分たちも使えます。」
「なら話は早いわ。これを見て。」
リリスはそう言うと一枚の札を取り出した。棚の上に乱雑に置かれた本が落ちる。
「それはリーサが持っていた!」
「私が作ったの。私の力、
「オウガス山脈…私の剣もそこで見つかったものです。」
「多くの遺物がそこで見つかるから私はそこに研究所をつくった。ある時、言語学者と名乗る男が現れた。目的は文字の刻まれた剣。ああそう、その男の娘がリーサよ。」
「オウガス山脈の研究所…聞いたことがある!たしか以前巨大な鳥による襲撃があったとか。」
「察しがいいわね。研究所が壊されちゃって、その時に誘われたのよ、リーサの父であるインベスとともに。そして私達を誘ったのがスピカさん。」
リリスはお茶を啜り話を続ける。
「その時私のようにかなりの数の学者が集められてね、異能文字の完全解読のためのチームが作られた……幾らか手伝いはしたけれどそれ以上は知らないわ。」
「ありがとうございます。母のことが少しでも分かってよかったです。ではまた…」
「そういえばあなたのお母さんには幾らか恩があるの。ちょっと待ってて。」
リリスはそう言い別れの言葉を遮ると、荷物をかき分け、棚を開いた。
「本当は出す能力より仕舞う方が良かったわね……はいこれどうぞ。」
棚から出てきたのは白い麻袋だった。
「これはリーサが持っていた、、、いいんですか?」
「いったでしょう。恩があるって。その袋、かなりたくさん入るからこれから使いなさいな。」
「ありがとうございます!失礼しました。」
「ええ、さようなら。」
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ーエイプル近くの森ー
「あら、この辺りの村から可愛い獣の気配がするわね。」
「サリバン様。しかし封印されたものの
「んなことわかってるわよ!ったく、落城の魔獣も言うこと聞かねぇし。いや?ここの村、あの研究所の奴がいたな?」
「あの怪鳥ですか!」
「ああっ!アハハハハ!なら行くしかないねぇ!」
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