第十九話 商人護衛隊

 「航海順調!風向き良し!周りに怪しい船は、、、ん?」


 「モルガ、アクア!5時の方向に海賊船あり!大砲準備及び商人殿の保護を!」


 「「了解!」」


 「船はあちらの方が速いか。ここで迎え撃つ!噴霧spray!」


 スプライの手から霧が現れる。たちまち甲板は霧に覆われた。


 「スプライさん、敵船近付いてきました!」

 

 「撃ちますかぁ〜?」


 「もう少し引きつけろ!モルガ、船を!噴霧spray!」


 船の下部。海面にも霧が立ち込める。


 「霧でどこからの大砲か分からないはずだ!相手の下部を狙え!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 「くそっ!どこからの大砲だ!照準が見えねぇ!」


 「キャプテン!火薬庫から侵入者が!」


 じわじわと霧が海賊船を包み始める。


 「どうしますか?キャプテ、うわっ!」


 「おい!どうした?!」


 舳先に突如現れる人影。七色の鎧は今は白くなっている。


 「名乗らず倒すは道に反する!波超え渦超え悪を討つ!スプライ参上!」


 「くそっ!あいつが霧隠か!野郎どもやっちまえ!」


 霧に紛れて麻痺性の液を霧状にしたものを、空を舞うかのように海賊達に浴びせていく。


 「どこいきやがった!うっ!」


 「霧に紛れやがって!がっ!」


 強い海風が吹き、霧がはれた頃。海賊は全て倒れていた。


 「さあ!護衛を続けよう!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 「どうした!?」

 

 がたいの良い大男が向かってきた。


 「船長!海賊船が!」


 船長とサジに呼ばれた男は遠くの船を見る。なぜか霧が船を包んでいる。


 「あれは………霧隠のスプライがいるな。」


 「霧隠のスプライ?」


 「ああ、皆さん知りませんか。スプライという護衛隊がエイプルにいるんですよ。あの様子だと…下手に支援するとむしろ逆効果ですよ。」


 しばらくすると海賊船に大砲が打たれた。 


 「成程。エイプルには自警団のようなものはないと聞いていたがこうなっていたのか。」


 「ところで皆さん。エイプルにはこちらの言葉がわかる人もいますが、マーチにはいませんよ。」


 「ああ、その点では問題ない!彼が話せるからな。」


 「トランさんエイプルの言葉分かるんですか?!」


 「まあ、ある程度は。」


 そしてふと気づく。何故自分はジェニの村から出たことがないのに聞いたことのない言葉が分かったのだろうか。

 

 (これも異能文字の力?もしくは………)


 「さて、、見えてきましたよ!あれがエイプル港。そしてマーチです!」

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