第十八話 いざ海へ

 雲一つない澄み渡った空。海鳥の鳴き声に波が船に打ちつける音。新たな旅立ちにはとても良い気候だ。


 「トランさん!お待たせしました!」


 「ルネ!もう行ける?」


 「はい、もうバッチリです。」


 船出の30分前、船に乗り込もうとしていると、サジが現れた。


 「二人とも!マーチに行くのだろう?」


 「はい!フィビュラにいる間有り難うございました!」


 「ああいや、こちらこそ。後もう一ついいかい?私もついて行っていいだろうか?」


 「良いんですか?!来てくれるのならば頼もしい事この上ないですよ!」


 「うん、ルネの言う通り。俺も着いてきてくれると嬉しいです。」


 「そうか!ならこれからもよろしく頼む!あと、もう『さん』は付けなくても問題ない。」


 「なら、サジこれからもよろしく!」


 明るい太陽に照らされてペンダントがキラリと光った。


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 同刻エイプル港


 「さあ行くぞ!我ら商人護衛隊その名はベリル!荒れ狂う大波すらものともせず!たとえ海獣が現れようとも…」


 「えっと、隊長のスプライさん、でしたっけ?そろそろ出発したいのですが、、、」


 港につけた船の上、身なりのいい男が話しかけたのは虹の七色の鎧を着た若い男だった。


 「そうですよ、スプライさん。早く行きませんと。」「そっすよ、いきましょ。」


 童顔の男と軽い調子の女が言った。


 「え〜どうしても?でもやっぱりやった方がいいだろ?モルガ、アクア〜。」


 「いーや。行きますよスプライさん。アクアさん、この方達と船乗っていてください」


 「わかりゃした、モルガさん。みなさんとりあえず乗っといてください。」


 モルガに連れられたスプライが言う。


 「なら最後に、行くぞ!目的地は海の先。海産の町フィビュラへ!」

 

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 船は海を切り裂いて白い泡を生み出していく。

 

 「こんなに大きな船初めてだ。」


 「やっぱり大きな船もいいですよね!トランさん。」


 「どうだ2人とも?船の上は快適か?」

 

 甲板の反対側からサジが向かってきた。


 「快適です!」


 「こんな大きな船があるなんて、、戦艦ですら見たことない大きさだったのに。」


 村にいたときは村の外には一切興味はなかった。ここまで旅をして感じたが世界は知らないことに満ちている。


 「ならよかった。ん?あれは………!」


 サジの見つめる先かなり離れているが黒い帆がなびいている。


 「あれは恐らく海賊船、エイプル近海のものだろうが放ってはおけない!」


 「トランさん、サジさん。あそこ!」


 「あれは……商人の船だ!」


 

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