第二話 後半 成人の儀
光の差す方に向かって走っていく。魔獣との距離はかなり離れて、もう歩いていても平気だろう。
「いやぁ、ヤバかったな。」
「うん、けどどうする?儀式できてないけど。」
「まあ仕方ないだろ。それよりお前!さっきのハンマーなんなんだ!?ってか、いつ消えた!?」
ディードが興奮しながら聞いてくる。
「ハンマーは意識を変えたら消えてた。出て来たのは、、、なんだろう?壁画にあった文字を読んだら。」
「ならこれにもなんか書いてあんのか?もしかしたら俺も使えたりして!」
まだ最後まで喋ってないのに、、、確かに壁画に何か書いてあるかもしれない。
「なになに、、、我この地に封印を残す。数年に一度清めの鐘を鳴らし、祈りを捧げよ。さすればかの落城の魔獣といえども現れることは二度と無いであろう。ってかいてあるね。」
「じゃあ元々は成人の儀じゃなかったのか!ならさっきのがその、、なになにの魔物って奴だな。」
そうなのだろう。数十年振りの儀式だったので封印が解けたのだろう。そしてふと気づいた。
「笛の音が聞こえない?」
何故だろう、、、儀式の間はなっているはずなのに。すると突然。
「カーンカーンカーン!!」
「なんだ?!鐘は壊れてただろ?!」
「いやこの音は、、、」
この村には3つの鐘がある。1つは儀式の、1つは教会の、そして最後の一つは、、、
「村に何かがあったんだ!!」
最後の鐘は村の入り口、何かが起こると鳴らされる。
「何回だった?1回だと朝礼、2回だと客人、3回だと、、、」
「うん、、、3回だ。つまり魔物が現れた!!」
洞窟の外に向かって走り出す。一度通ったからか素早く帰ることができた。
「おいなんか燃えてねぇか?!」
洞窟の中にまで熱が伝わってくる。
「ヴゥヴァァァァッッ!!」
「くっ、やっぱり魔獣が。」
洞窟の中のものと違い狼のような形をしている。
「やるしかないね。」
「
手袋を発動し魔獣を正面に捉える。だが、、
「ヴゥワッッ!」
「アイツ空中で体を捻りやがった!」
「いや、それならっっ!!」
もう一度向かってくる魔獣に合わせてハンマーを振る。魔獣が避けようとするその時。
「
槍ならば身軽な相手にも当てやすい。その上体を捻った無防備な相手ならば。
「ガァァァッッ、、、」
「よしっ!村の人を助けに行こう!」
村の中央に向かうと村人が集まっていた。
「みんな!無事か!」
「おお、トランにディード!話は後じゃ!先ずは逃げるぞ!」
「はい、わかりました村ちょ!!」
異様な威圧感を感じ、後ろを振り返る。
「おやぁ、村人が集まってるね。」
謎の女性が妖しく扇で涼んでいる。
「お前は誰だ!!」
「グハハ!マヌケな斧男と槍男が!」
「このお方は我らが主人!サリバン・ティム様であられるぞ!」
なんと彼女の連れる2体の魔獣が喋り出した!
「お前ら黙りなっ!!」
「「やはりお怒りになられてもこのお方はお美しい!!」」
「あなた達の用は何だ!」
女は扇を放り投げ魔獣の上から降りて来た。
「そんなの決まってるでしょう。落城の魔獣を従えに来たのよ。」
女は手で印を結ぶと怪しい気を放ち始めた。
「
凶々しい瘴気が洞窟に吸い込まれていく。
「グオォォォォォォッッッッ!!」
「この鳴き声、アイツさっきより気迫が増してねぇか?!」
「うん。傷も治ってるし、明らかに体格が大きくなってる!」
「同時に一撃!ぶつけるぞ!!」
「
今の自分達の限界の一撃。けれども、、、
「その程度の攻撃、効くわけがないじゃない。」
「くっ、全くびくともしねぇ!」
「あらもう終わり?なら、こちらから。」
「もう一度ッッ!なっ!」
ハンマーを落としてしまう手袋を見てみると。
「電源切れか!」
魔獣は炎を口に纏いながら向かってくる。
「俺の一撃だけでも!!」
「グゥゥヴゥァァ!!」
「ぐわぁ!」
「ディード!!」
ディードは火炎弾に打たれ後方の古屋に叩きつけられた。
「さあ、あと1人ね。さっさと燃え尽きな!」
魔獣がまた炎を纏い出す。魔獣には今の自分の力では敵わないだろう。だが!
「最後まで、やりきるさっっ!!
「そう!その意気だ!」
何処からともなく現れた剣先が魔獣の頬を切り裂いた!
「へぇ、まだ仲間が居たのかい。」
「待たせたね。少年よ。」
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