第八話 自警団長サジ
「あそこに黒い影!」
「任せてください!
影は立てかけられていた掃除道具にぶつかり埃を巻き上げた。
「うわっ!追ってきやがったな!けど、影に入ったらぁ!どこに居るか分からないだろ!」
「あっ、影が、、、」
影は暗い路地に入り完全に見えなくなってしまった。
「いや、あれは!」
影はなくても体に付いた埃が浮いて見える。
「そこだ!
ガキンッ!
なんと鎖は宙で弾かれ当たらなかった!
「あまいなぁ!
「
バキィ!
「くそがぁ!ここでやられてたまるかぁ!
「離れて!っ!見えないから攻めづらい!」
隙をつくことができない限り攻撃を与えることすら厳しい。しかもあっちはこの土地に慣れている。
「やるしかないか!
「効くかよぉ!」
「
空から急に大きな風呂敷が打ち出され、ミナの亡霊に纏わり付いた。
「チッ!なんだこれはぁ?布か!誰だぁテメエ!見えねぇ!」
肩に矢筒を背負い、大きな弓を構えた男その名も………
「私は自警団長サジ!亡霊よ!神妙にお縄につけ!」
「サジさん!ありがとうございます!製作!《make》チェイン!」
「ガァッ!油断したぜ、、、」
鎖でしっかりと亡霊を縛り話を聞いていると何と他にも4人文字使いがいるという。
「成程。となると先の盗賊もその一員だと考えても良さそうだな。そして!再びの協力!感謝する!」
「いえ、こちらも財布を取り返そうとしただけですから。」
「もし出来ればだが、このまま私達に協力してくれないかい?君は船に乗りたいのだろう。なら船が出るまででもいい。」
サジは亡霊を連行しながらそういった。
「来てくれるなら明日の昼、詰所に来て欲しい。ではまた!」
速く船に乗るなら協力するべきだろう。それに、文字使いに多く会えば異能文字について知ることが出来るかもしれない。
〜翌日〜
「ルネ、俺は自警団に協力したいと思う。君はどうしたい?」
ルネは少し考えたあと
「ここまで来たら私も協力したいです!さあ!なら行きましょう!」
自警団の詰所は前来た時よりも騒がしく、人の数も多くなっていた。
「おお!来てくれたか!すまないがお茶を出す時間は無いんだ。」
「何かあったんですか?」
「ああ、海賊が何やら企んでいる様なんだ。おそらく文字使いだろう。」
詰所の中では地図を広げての作戦会議、砲弾の手入れなどで鉄や埃の匂いが立ち込めている。
「協力をしてくれるなら私と一緒に別動隊として行動してもらいたい。」
「分かった。いつ出発する?」
「本隊への指示出しがあるから先に海岸沿いの砦に行っていてもらいたい。」
「了解した!」
サジは会議の場に向かおうとしたが振り返り。
「君たちが連れてきた盗賊だがどうやら君たち以外を襲っていない様なんだ。許してやれとは言わないが今回協力してもらうこと理解して貰いたい。どうか頼む!」
わざわざ盗賊にまで頼む時点でかなり切迫詰まった状況なのだろう。
「なら一回合わせて貰えますか?」
「ああ、良いとも。」
詰所の奥に向かっていく。鉄の匂いのする扉が錆びついた音を立てながら開いた。
「2人とも、あの時はすまなかった。許してもらおうとは思わない。殺そうとしたのは事実だ。」
「なぜ、あなたは盗賊なんかになったんですか?」
「………あまり大した理由じゃない、ただ、生きていく金がなかった。それで、海賊の元にいった、すると…盗賊になっていた。」
少し違和感がある。あの時の盗賊と今の男がどうも同じ人間に見えない。
「君も感じ取ったかも知れないが、悪の心が増幅されていた可能性がある。」
「それって、、、」
「恐らく海賊船の船長が持つ文字能力だろう、、、」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます