第5話 良く知らないクラスメイトの訃報

第5話


「はぁ、面倒だ………」


初日に色々とやらかしたせいで、いつも以上に憂鬱だ。


まぁ、人は関わってこなくなるだろうから、ある意味得もしている訳なのだが………


だが………


「それ以外の反応は困るよなぁ………」


悪意をもって接してくる奴があの一件で増えそうなのが問題なのだ。


最終的には色々と暴れるつもりだが、面倒はなるべく起こしたくはない。


「まっ、反応を見て考えるか。」


その時の事はその時に考えれば良い。


今はそれが一番の得策だろうから。


「さて、どう来るか………」


ほんの少し、警戒して教室に入るが………


「警戒し過ぎたか?」


意外にも、クラスメイトからの反応は呆気ない物だった。


多少此方に視線は来るが、それだけだ。


奇異の目は初日がアレなので仕方ない。


そう覚悟していたのに、それも少ない。


悪意ある視線なんて皆無だ。


そういう事は有り得るのだろうか?


まぁ、面倒が起きそうにないのなら、良いとするか。


「あっ、転校生君おはよう♪」

「………ああ、おはよう。」


挨拶は大事だ。


面倒、本当に面倒、非常に面倒、心底面倒なのだが、されたのなら返すのは人として当然の事だろう。


古事記にもそう書いてある………筈だ。


ぶっちゃけると、無視したらまた泣かれそうだからなのだが………


「ねぇねぇ、来るの遅かったね?家、遠い所にあるの?」

「………何で答える必要がある?」


………コイツ、何が目的だ?


俺の家を知って、嫌がらせでもする気か?


万が一、そうじゃないとしても教える理由が皆無だ。


「ふ〜ん、まっ良いか。アトデシラベレバイイダケダシネ………」


と、最後に何かを呟きながら、聞き出す事を諦めた。


………何がしたいんだろう、コイツ?


そんな事を訝しんでいると、教室に先生が入ってきて………


「本来ならHRなんだが、皆に悲しいお知らせがある。昨日、☓☓が死んだ。車に轢かれたらしい。」


へぇ、そうなのか………


そういう不幸な奴も居るんだな………


「へぇ、☓☓死んだんだ。ヨカッタ、オネガイキイテクレタンダネ………」


と、隣のコイツも悲しそうな顔をしている。


仲が良かったのだろうか?


俺には居た………居ないが、心底解らない感覚だ。


死ねば唯の肉塊だろうに………


悲しもうが、悲しまかろうが、帰ってくる事なんて二度と無いのにな。


まぁ、それは個人の自由か。


「皆さんも車には気を付ける様に。」


確かに気を付けなきゃな。


親戚に車に轢かれて死んだ奴が居た覚えがあるし。


「怖いよね、こんな事が身近で起きるなんてさ。」

「そうか?死ぬ時はあっさり人は死ぬぞ?」

「そうなの?」

「ああ、俺の母さ………何でもない。」


何で俺はこんな奴にの事を話そうとしたんだ!?


クソが………


「ふ〜ん。色々とありそうだし、聞かないであげるね?」

「助かる………って、何で俺はコイツに礼を言ってるんだ!?」

「あはは、転校生君ってやっぱり面白いね♪これからも宜しく!」

「嫌だ、断る、却下だ。」

「何でよ!?」


はぁ、変な奴に目を付けられたな………


続く

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