第8話 人の噂も七十五日
第8話
白虎side
とある暗い部屋の中………
「ちっ、どうしてだ!?」
朱雀の幼馴染、白虎はキレて物に当たっていた。
「あの野郎、ピンピンしやがって………」
悪い噂を沢山流してやったのに、全く堪える気配がない!
それ所か、滅茶苦茶ノンビリ過ごしてやがるじゃねぇか!
しかも、朱雀も余計に近付く様になってるじゃねぇか!
何故だよ、可笑しいだろ!
普通、周りの奴等みたいに離れるだろうが!
それに、アイツは転校してきたばかりで、初日にお前を泣かせた上に奇行を働いた異常者だぞ!?
あ゛あ゛、ムカつく!
「クソが!おい、そこのお前!ちょっと此方に来い!」
彼が叫んだ方向には、倒れ込んだ女が居た。
最初は反応しなかったが………
「おい、早く来いよ!家族がどうなっても良いのか!!」
「は、はい!」
彼がそう叫んだ瞬間、フラフラしながらも彼女は彼の元に寄る。
そして………
「よし、来たな。じゃあ、よっ!」
「きゃっ!?う、うぅ………」
彼は思いっきり、彼女の腹を殴り付ける。
彼女は苦悶の表情を浮かべ、倒れ込む。
だが、彼はそれを許さない。
「ほら、もう一丁♪」
「がはっ、や、止め………」
「止める訳がないだろ!お前は俺専用のサンドバックなんだからよ!!」
思う存分、白虎は彼女を殴り蹴る。
それは彼が満足するまで続けられた。
「お前も可哀想になぁ。俺が親ガチャSSRで金持ちで、お前の親が勤める会社の社長令息じゃなきゃ、こんな事になってなかったのになぁ?」
「う、うぅ………」
「おお、泣いたか?良い顔だぜ、ぎゃはは♪まぁ、不幸だったと割り切れよ。世の中ってのは理不尽だらけなんだからよ!」
まぁ、俺達は
「ふぅ、まだ満足出来ねぇな………」
じゃあ、今日も一発ヤラせて貰おうかな?
「ふ〜ん、やっぱり君が犯人だったんだね。まぁ、最初から察しは付いてたけどさ。」
「えっ?」
聞き覚えのある声、俺が唯一大好きで、脳が焼かれる程に染み込んだ声が、何故か聞こえてくる。
遂にイカれちまったか?
いや、コレは………
「何で、此処に朱雀が………」
此処を知ってるのは親達だけの筈………
「私が君の親にお願いしたら、全部教えてくれたよ♪」
成る程、だからか。
じゃあ、仕方がないな。
でも、もう一つ疑問が生まれた。
「朱雀、なら何で此処に来たんだ?」
そう問うと、今まで見た事のない様な良い笑顔で………
「君に、最後のお願いをしに来たんだ♪」
ああ、そうだったのか。
………いや、待て。
今、最後って………
「君、もう要らないから。だから、お願いしちゃうね♪」
「待ってくれ!何で!?何で俺が………」
朱雀に必死にしがみつき、懇願する。
駄犬の様に、精一杯媚びながら、真剣に頼み込む。
だが、彼女は俺の頭を掴み、真っ直ぐ見据えながら………
「お願い、死んで♪」
あ、ああ、あああ………
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!
「おう、任せとけ!ちょっくら、ちゃんと死んでくるぜ!」
「うん、ありがとう♪じゃあ、バイバイ♪」
☆☆☆
飛鳥side
次の日、登校すると昨日みたいな反応は皆無だった。
………何が起きてるんだ?
「あっ、転校生君!おはよう♪」
「ん?ああ、隣のか。おはよう。」
「朱雀!じゃなくて、転校生君!今日来てみたら、何か噂が消えてたよ!」
「だから、こんな感じなのか………」
人の噂も七十五日と言うが………
「飽きるの早すぎだろ………」
「でも、ずっと続くよりは良いでしょ?」
それは、まぁ、確かに………
「お前に同意するのは何か癪だが、その通りだな。」
「もう何それ!」
続く
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