第7話 噂は結局噂でしかない

第7話


「ねぇ、アレって………」

「確かにやってそうだな………」


最近、周囲が煩い。


ほんの少しだけ悪意が混じった視線も感じるし、忌避の感情も感じる。


「もしかして、悪い噂を流されてるのか?」


まぁ、初日にやらかした事がやらかした事だからな………


ぶっちゃけ、仕方ない話だ。


少なくとも、を並べ立てられるよりも1000%マシなのだ。


しかし、厄介だな………


別にこれ位はジャブ以下、ドラ○エでいうスライム、ポケ○ンでいう序盤も序盤だ。


この程度で反応するとか、軟弱にも程があるだろう。


せめて、肩パンとか直接攻撃とかじゃないとなぁ………


「ねぇ、大丈夫なの転校生君?」

「………ん?何がだ、隣の奴。」

「私は朱雀だよ。じゃなくて、変な噂が流れてるけど、大丈夫なの?」

「何だ、そんな事か………」


心配性なんだな、それともこの隣の女子が聖人君子な天使だからだろうか?


「朱雀、朱雀だよ!」


優しいのは良いが、それを他人に付け込まれそうで心配だ。


………いや、何で俺は隣の天使の心配をしてるんだ?


「だから、朱雀だって。でも、天使かぁ〜嬉しいよ♪」


くっ、これがこの優しさにステを振り切った異常者の力か!


この隣のクラスメイトめ、いつの間にか毒されそうで侮れないな………


「もう!す!ざ!!く!!!朱雀だってば!!!!」


ん?何か騒いでるな?


全く、女ってのはよく………


………いや、止めよう。


の事は思い出すだけで、気色が悪い。


「まぁ、気にするな。こんな戯言を流すバカに反応する方がバカになる。結局、無視が一番なんだよ。」

「ふ〜ん、そうなんだね。でも、本当に大丈夫なの?」

「まぁな。まぁ、直接的な被害が出たりしてきたら、何か考えるわ。」


今更、俺が傷付こうが何も思わんしな………


「………解ったよ。でも、何かあったら、私に言ってね!」

「何でお前に………」

「言ってね!!」

「………ああ、気が乗ったらな。」


こ、怖かった。


この隣の奴、たった一瞬だけ凄い気迫を出しやがった。


天使は天使でも、熾天使だったか………


「うん♪………サテ、ダレガコンナコトヲシタノカナ?」

「………?」


また何か呟いてるな………


まさか、厨二病なのか?


………まぁ、そういう時期は誰にでもあるらしいからな。


ちゃんとスルーしておいてあげよう、うん。


「タブン、アノバカカナ?よし!決めた!」


どうやら、何か決めたらしい。


もしかして、次の妄想のシナリオか?


そういうのは、そういうサイトで吐き出した方が良いぞ。


聞かされる方も溜まった物じゃ………


「………クソが。」


何での事を!


「あれ、どうかした?」

「………何でもない。何を決めたかは知らないが、まぁ頑張れよ。」

「うん♪」


無駄に良い笑顔だ。


全く、何するつもりなんだが………


「何って、お願いするだけだよ?」

「ふ〜ん、そっか。」


まぁ、俺には関係ないか。


「オバカサンニハ、セキニントラセナキャネ………」


また、何か呟いてるよアイツ………


ありゃ重症だな、ご愁傷さま。


続く

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