第6話 ウザい奴等は何処にでも現れる

第6話


「う、ウザい………」


俺は今、非常に追い込まれている。


それは何故か?


休憩時間だと………


「転校生君、何してるの?その読んでる本、面白いの?私にも見せて、教えて♪」


給食時間では………


「転校生君、今日も一緒に食べよう!まぁ、給食だから離れられないんだけどね♪ほら、机を早く合わせてね♪」


昼休憩だと………


「転校生君、一緒に遊ぼう♪ほら、将棋盤をお願いして持ってきたからさ!」


と、転校してからこの所、ずっと隣のコイツに絡まれている。


隙があれば、どんな所にも現れ、様々な理由で絡んでくるのだ。


その様は、まるで油断も隙もない化生のソレだ。


新手のストーカーか?


まぁ、文句を付けて断れば良いだけの話だ。


話なのだが………


「構ってくれないの?ウルウル………」


自分でウルウルと言う奴を初めて見た。


だが、泣きそうになってるのは本当だから質が悪い。


はぁ、女というのは本当に卑怯だ………


前に理由こそ解らないが、泣かせてしまった負い目もある。


どうしたものか………


「楽しいね、転校生君♪」

「………お前がそう思うのなら、そうなんだろうな。知らんけど。」

「むぅ、何それ!」

「………メンドイナ、コイツ。」

「聞こえてるんだからね、転校生君!」


いや、本当に面倒くさいなコイツ。


マジでどうしよう………


と、この時の俺は呑気に考え込んでいた。


だから、気が付かなかったのだろう。


「俺の朱雀だぞ?何でお前みたいな変な奴が近づいてるんだ?」


隣のコイツに絡まれている俺に対して、様々な悪意を込めた視線が向けられていた事を。


☆☆☆


とある、暗い一室の中………


「はぁ、クソが!ムカつくな、あのぽっと出野郎!!」


男は苛立っていた。


コイツの名前は、夕峰ゆみね 白虎びゃっこ


飛鳥や朱雀が居るクラス一の陽キャ、人気者な存在だ。


そして………


「全く、俺の朱雀に色目を使いやがって!」


一応、朱雀の幼馴染だ。


これまで、ずっと彼女と一緒に居た。


長い間、彼女の隣に在り続けた存在なのだ。


誰よりもを聞き続けた男なのだ。


だが………


「また、アイツ等みたいに消しちまうか?」


………その本性は真っ黒だ。


今までにも朱雀に色目を使い、媚び、手を出そうとしてくる輩は沢山居た。


そんな奴等を彼は………


「こっそり、虐められる様に仕向けるか?直接呼び出して囲むか?それとも………」


その時の彼はとても良い顔をしていた。


朱雀に手を出そうとする輩が許せないのは本音だ。


でも、それ以上に彼は他人を傷付ける事が大好きなのだ。


結局、朱雀の事も他人を虐げれる言い訳にしか過ぎないのだ。


「俺は何をやっても許される。はは、親が金持ちって本当に最高ッだよな!親ガチャSSRだぜ!なぁ、お前もそう思うだろ?」


其処には、酷い傷が沢山有る女性が、裸で転がされていた。


その女性は、彼の問いかけに身体を震わせ、恐怖の表情を見せながら………


「ひっ、そ、そうですね………」


と、彼が納得する様な答えを吐き出す。


その様子を満足そうに嘲笑い………


「はは、本当にどうしてくれようか?」


続く


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