第9話 偶然と姉
第9話
「ねぇ、転校生君♪な〜にしてるの?」
「見りゃ解るんじゃあねぇのか?」
土曜日、面倒な学校生活から解放された俺は近くのペットショップに来ていた。
理由?
勿論、可愛らしい犬猫を観る為だ。
世の中にはイヌ派だのネコ派だの、くだらない派閥争いがあるらしい。
全くバカバカしい論争だ。
動物に貴賓なしだというのに………
で、そんな癒やしタイムをこの隣の奴が破壊した訳だ。
「だから、朱雀だってば。でも、邪魔だったかな?ウルウル………」
だから、そのあざとくて気持ち悪いウルウルを止めてくれ。
罪悪感は全く沸かないが、周りが面倒な事になるんだよ………
はぁ、仕方ないか………
「別に。で、お前こそ何してるのだ?」
「今日の星座占いで1位でさ!会いたい人に会えるらしいから、適当にお出かけしてたんだ!あっ、ちなみに蠍座だよ♪」
成る程、ならコイツは11月産まれか?
ちなみに俺は双子座の6月産まれだ。
「へぇ………で、会えたのか?」
「うん♪」
「………良かったな。」
「うん♪♪」
まぁ、俺には全く関係のない話だが………
「私も一緒に見ても良い?」
「邪魔しないならな。」
「しないから一緒に見るね♪」
………全く、コイツは休みでも俺の隣に居るつもりなのか?
☆☆☆
「じゃあね、転校生君♪バイバイ♪♪」
「ああ。」
その後、数分か経った後に、大袈裟に手を振りながら帰っていった。
子供かアイツ………
………いや、中学生は立派な子供か。
「さて、俺も帰ると………」
帰ろうとした瞬間、変な視線に気付く。
いや、気付くというよりは、気付かされた。
いや、マジ何で気が付かなかったんだ?
だって………
「アリエナイ、ナンデアイツガ………」
ほぼ丸見えな状態で、凄い熱視線を謎の女性が俺に送ってきてるからだ。
ストーカーか?
でも、俺にそんなのをやる理由も必要性も全く思い浮かばん。
………仕方がないか。
「何してるんですか、貴方?」
「えっ、近っ!?」
いや、普通に近付いただけだし、驚く程に近い訳じゃないでしょ。
「………いや、これは好都合ね。貴方、何者なの?」
はい?
「いや、人に誰か聞くなら貴方の方から名乗るのが礼儀でしょうに………」
「………確かにそうね。それは謝るわ。」
そして、少し考え込む様な素振りを見せ、深呼吸して彼女は名乗る。
「私の名は神峰
へぇ、そうなのか。
やっぱり、姉妹揃って変なんだな………
しかし、何故俺を見てたんだ?
まさか………
「シスコン!?」
「違います。悍ましい事を言わないで。」
あっ、凄い拒絶してる。
じゃあ、違うのか………
「はぁ、私は名乗ったわ。次は貴方の番よ。ほら、早く応えなさい。」
「………解りました。俺は浮世 飛鳥です。で、俺の名前なんか聞いて何がしたいんですか、隣の奴のお姉さん。」
「えっ、隣の奴???………まぁ、良いわ。単刀直入に聞くわよ?」
そして、彼女は意を決した様にこう問う。
「貴方を前にしているあの子は、何で普通の女の子みたいな顔してるの?」
………いや、アイツは普通に女の子だと思うのだが?
続く
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