第13話 濃い奴は転校生

第13話


「皆、静かに。知ってる奴等は知ってると思うが、転校生がこのクラスに来てくれた。」


───と、色々あった休日が終わりを告げ、また面倒な学校生活が始まる。


そんな中、先生がそう俺達に告げた。


俺と間隔がそんなに空いてないのに、また転校生が来るのか。


そのせいか、暗そうな顔をして先生が「ドウカヘンナヤツジャナイデクレヨ?」とぼやいてる………


まぁ、それに関しては、その………ほんの少しだけ申し訳ない。


「ほら、入ってこい。」

「かしこまりました!はいはい、私の名前は大好きなお爺ちゃんの名字である!そして、旧暦の1月である睦月!それらを合わせた霧崎きりさき 睦月むつきだよ!」


「今後とも宜しくね♪」と、彼女は高らかに宣言した。


うん、濃いね君………


先生なんか「モウダメタ、オシマイダ………」って諦めの境地に至ってるぞ。


「何か凄い子だね、あの転校生ちゃん。」


───と、彼女は何故か険しい顔をしてそう言った。


「そうだな。お前みたいに面倒じゃない事を祈るよ、隣の奴。」

「朱雀!朱雀だから!でも、確かに………」


───「キモチワルイヨネ、アノコ………」と、彼女は呟いた。


コイツもそんな事を言うんだな………


しかし、あの転校生の何処が気に入らないのだろうか?


いたって普通に見えるのだが………


しかし、隣の奴は何かを警戒しているかの様に、険しい顔を止めない。


マジであの転校生に何があるんだ?


「………はぁ、じゃあお前の席は一番窓際の浮世の後ろだ。」


そう言えば、今日来たら後ろに席が増えてたな………


そういう事だった訳か。


そんな事を呑気に思っていると、転校生が真っ直ぐに隣の奴の方へ行き………


「やっと見つけたよ、化け物。」

「………もしかして、私?」

「お前以外に誰が居るのよ?」


転校初日早々に喧嘩か?


コイツ、飛ばしてんなぁ(棚上げ)………


「酷い人なんだね、貴女。」

「ありがとう。でも、貴女ほどじゃないから安心して♪」


怖ぁ………女の戦い、怖ぁ………


笑顔の応酬って、何であんなに怖いんだろうね?


ていうか、俺の近くで争わないでよ。


「まぁ、これから宜しくね化け物。」

「ふふ、此方こそだよ転校生ちゃん。」


はぁ、終わった。


ていうか、お姉様もそうだけど、何でコイツが化け物、怪物なのだろうか?


どう見ても、普通の女の子なんだが………


☆☆☆


その後、転校生は早々に寝てしまった。


おいおい、この女は学校に何をしに来てるんだ?


その隙を見て、隣の奴も………


「うぇ〜ん、転校生ちゃんが虐めてくるよ!助けて、転校生君!」

「はいはい、辛かったな。」

「うん♪」


暑い、ウザい、抱きつくな。


しかし、めっちゃ良い笑顔だな………


本当に傷付いてるのか、コイツ?


「へぇ、そんな顔も見せるんだね。」

「………起きてたのか。」

「まぁね。君は其処の化け物の彼氏かい?」

「うん、そう「今の俺にそんなのを作るつもりは皆無だ。」転校生君………」


おい、何故睨むんだよ、隣の奴………?


でも、何でそんな事を………


「へぇ、そうなのか。うんうん、そういう事なのね。ああ、ちゃんと心が固まったよ、化け物。」

「何、転校生ちゃん?」

「私とお前は初対面だが、心の底からお前が嫌いだ。そして………」


流れる様に転校生は俺を肩の間に挟み込み、抱え込む様にして………


「………お前から、コイツを奪う。化け物なお前には、過ぎた存在だからな!」


────そう、彼女は隣の奴に宣言した。


─────────────いや、何で!!??


続く

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