第12話 お姉様も大概である/新たな呼び水

第12話


悲報、やはりお姉様も隣の奴並に変な人でした。


「あの、何でそんな急に………?」

「貴方なら私から離れないわ。結婚しましょう、今すぐ。私、こういう時の為に婚姻届の用意があるのよ?」

「何で持ってるんですか。後、俺はまだ書けませんよ?」


後、今日が初対面の人と何故結婚しなければいけないのだろうか?


「大丈夫、その時になるまで保管していれば良いだけだから。それに私の事なんて両親は気にしてないから、簡単に婚約できるわ。」


気にしてない、か………


────俺もそうですよ、お姉様。


でも………


「すみません、お姉様。俺は貴方の事をよく知りません。」

「でしょうね。でも、大丈夫。これから知っていけば良いのよ!」

「そうじゃありません。今の所、俺はこんな事をするつもりはありませんし、しようとする気さえ起きていません。まぁ、はっきりと言うとすると、ごめんなさい。」


───何で、初対面のお姉様に告白されて、振っているのだろうか?


いやはや、この世の中は本当に何が起こるか解らない物だ。


「………そう、解ったわ。」

「ありがとうございます。」

「安心しなさい、貴方を手に入れるまで私は諦めないわ!」

「えっ、あっ、はい。」


ああ、思わず頷いてしまった。


ちくしょう、この強引な感じを見ると………


────どうしようもなく、彼女を思い出してしまう。


もう会えるかどうかは、決して解らない彼女を………


「じゃあ、今回は帰るわね。また今度。」


と、大量のお金を渡して去っていくお姉様。


あの人、絶対に変な男に惚れ込んで貢ぐタイプだ………


はぁ、こんなに貰っても困るんだが………


「お姉様、貴方は俺に惚れた様だけどさ。」


────それなら、貴方は?


「俺を殺して欲しいとお願いしたら、聞いてくれますか?」


───と、彼は呟く。


そして、それを先程近付いた時に盗聴器(ついでにGPS)を付けていた彼女は………


「───勿論、それが夫である貴方の望みならね。」


神峰 鳳凰。


彼女も大概変で、隣の奴には劣るかもしれないがヤバい奴なのを………


───後に、俺は嫌な程に知るのであった。


☆☆☆


???side


「はぁ、我が母も娘扱いが悪い。」


全く、こんな普通の町に何があるというのだろうか?


まぁ、我が母の事だ。


とびっきり凄い怪物でも………


「はぁ、今日の転校生君も格好良かった♪」


おいおい、近くから色ボケに染まってそうな奴の声が聞こえるぞ?


まぁ、それ自体は良いよ。


でもさ………


────お前の愛は、ちゃんと純愛なのか?


「さてさて、どんな奴………ゾッ!!!???」


何だ、アレ………


其処には、一人の少女が居た。


多分、私と同年代。


でも、アレは………間違いなく………


「────はは、化け物じゃん。」


嘲笑ってるのに、笑ってない。


全てを見下し、全てを蹴落とす様な存在。


「見ていて吐き気がする。どうして、お前みたいなのが生きてるんだよ。」


────成る程、だから我が母は私をこの町に寄越したのか。


「ありがとう、我が母。私の役目を今はっきりと理解した。」


さぁ、此処から先は………


「───私の独壇場セカイだ。」


───怪物退治の始まりだ。


続く

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