第11話 鳳凰の初めて 鳳凰side
第11話
私の妹は怪物だ。
多分、生まれた時からずっと。
最初に気が付いたのは、妹が少しずつ話せる様になった頃。
「ねぇ、お父さん!お母さん!」
「鳳凰、今は朱雀を構うので忙しいんだ。だから、他所へ行ってなさい。」
「そうよ、私達は朱雀ちゃんのお世話で忙しいの。お姉ちゃんなら解るでしょ?」
「………うん。」
親は私に冷たくなった。
………しかも、現在進行形で。
勿論、親として最低限の事はしてくれる。
本当に最低限の事しかしてくれないが………
最初は親に私を見てもらう為に、色々とやってた。
「ねぇねぇ、お父さん!お母さん!この絵を見てみて!」
「その絵がどうしたんだ?」
「えっとね「お父さん、見てみて!」あっ、朱雀………」
「おお、朱雀!凄い絵だな!将来は美術家か、デザイナーだな!」
「そうね!本当に凄い子だわ………」
「お父さん、お母さん………」
──と、全てが無駄に終わったので諦めた。
「お父さん、お願い♪」
「ああ、任せなさい朱雀。」
「お母さん、お願い♪」
「ええ、待っててね朱雀ちゃん。」
両親は私のお願いは最低限しか聞いてくれない癖に、妹のお願いは何でも聞いていた。
妹がお願いすれば、玩具や服、食べ物も全て与えてあげていた。
私には………私にはそんな事を全くしなかった癖に!!!
「ねぇ、白虎君。玄武君。お願い♪」
「おう!」
「ああ、任せてよ!」
そして、彼女のお願いは両親だけじゃなく、私の幼馴染やその弟にも及んでいった。
弟の白虎の方は嫌いだから良いけど、その兄の幼馴染な玄武君も私から奪ったの。
興味も関心も無い癖に、無駄に可愛い笑顔で妹はお願いをする。
奴隷の様に、私の初恋の人をこき使った。
それだけなら良かった。
唯、お願いされてるだけ。
それならまだ良かったのに………
「お願い、玄武君♪死んで♪」
────と、いとも簡単に彼はこの世から消え去った。
私の前から、永遠に………
「許さない………」
理由は多分、気紛れ。
単に、人が死ぬ光景を見たかっただけなのだろう。
もしかしたら、別の理由もあるかもしれないが、そんなの知りたくもない。
「殺してやる!絶対に殺してやる!」
だから、私は妹を………妹の姿をした怪物を殺そうとした。
だが、無理だった。
既に妹にお願いされていた両親に止められた。
ああ、終わった………
私はもう………
「お父さん、お母さん!お願いがあるの。お姉ちゃんを許してあげて!理由は解らないけど、私のお姉ちゃんはお姉ちゃんだけなの!だから、奪わないで!」
────そう、私は妹に守られた。
憎くて、恨めしくて、この世で1番殺したい存在に守られたのだ。
コイツは何処まで私を貶めれば………!!!
☆☆☆
────で、現在に至った。
もう、妹を殺す事すら諦めた。
疲れたのだ………
でも、そんな中………
「ウソ………」
目の前に、摩訶不思議な光景が広がっていたのだ。
「ねぇ、転校生君♪この猫ちゃん、私と同じ位可愛いよね?」
「そうだな。隣の奴より1000%可愛いな、この猫ちゃん。」
「もう!何がそうだなよ!」
は、吐きそう………
一体、アレは何だ?
妹はあんな顔しない。
あの怪物は普通の女の子の様な、そんな恋する乙女みたいなメス顔なんてしない!
あの怪物は………怪物は…………
「一体、貴方は何者なの?」
妹はそんな吐き気のする顔を向けている男の子に興味が湧いてきた。
もしかして、もしかしたら、もしかしてだけど………
☆☆☆
「いや、断ったけど………」
「そう断ったの………断った!?」
嘘………あの子のお願いを!?
誰一人として断らなかった、理不尽だとしても死力を尽くそうとする、妹のお願いを断ったの!?
────ああ、見つけた。
本当に存在したんだ!
私をあの
「やっと見つけた、私の王子様♪♪♪」
──────絶対に
続く
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