3章 愛の化け物

第25話 名前のない怪物達

第25話


朱□!△?○!?☆?!side


「お願い。」


────私は何もしない。


「お願い。」


こうすれば、皆は全てをしてくれるから。


「お願い。」


────私は何もしない。


「お願い。」


こうすれば、私の望みは叶うから。


「お願い。」


────私は何もしない。


「お願い。」


だって、それが私の在り方だから。


「ありがとう、お父さん達。お母さん達。」


私を作ってくれてありがとう。


私を産んでくれてありがとう。


私を育ててくれてありがとう。


「だから、これからも………」


────お願いを沢山聞いてね?


だって、それが………


子供の権利で、奴隷の義務でしょう?」


ずっと、ずっと、ずっと永遠に………


「私の為に生きて、死んでね♪大好きだよ、お父さん達♡お母さん達♡」


☆☆☆


飛鳥side


『はっ、何だ今の!?』


思わず飛び起き、冷や汗を流す。


気持ちが悪い、何だアレは………


あんなの人の思考じゃない、もっと別のナニカだ。


吐き気がする、動悸も全く止まらない。


この世にあれ程悍ましい物が存在するのか?


『はぁはぁ、あれ?此処は………』


何だ、この場所?


俺の家じゃねぇな………


『夢から覚めたら、また夢ってか?』


此処は明らかに現実世界の場所じゃない。


暗く歪んで、闇に覆われている様な気持ち悪い世界だ。


というか、この闇ねちっこいな。


あれか?里芋のタルタルな奴か何かか?


あれ、美味しいよな………


『ていうか、空気も何か重いな………』


重苦しいし、何か動く気が起きない。


というか、やる気とか気力とかが削ぎ取られていく様な………


『悪い人、本当に悪い私の存在意義運命。』

『誰だ!?』


其処には、子供………いや殆ど赤ちゃんに近い子が居た。


顔が真っ暗で、何も映さない能面の赤ちゃんが居たのだ。


後、何故か直感的に女の子だとも解った。


『此処はまだ貴方には早いわよ?』


だが、この赤ちゃんから放たれる声は大人のそれだった。


そして、覇気は在るのに生気が全く感じられないのだ。


これじゃ、まるで………


『幽霊じゃないよ?私は………ううん、はちゃんと此処に存在し、生きているのだもの。』


私達?


此処には、お前だけじゃ………


『────あ〜あ、もう時間か。でも、これだけ繋がれば、時間の問題かな?』


何を言って………


『ふふ、怠惰と勤勉は表裏一体。今の君には怠惰がよく似合う。だから、現実進行形で君は。』


だから、訳が………


『じゃあ、私に宜しくね転校生君♪そして、私にも宜しくね、アス君♪』


その呼び方は、お前………!?


『『残念、時間切れ♪また今度ね♡』』


☆☆☆


「はっ!?」


な、何だったんだ、あの………


「────あれ、俺は何をそんなに慌ててたんだ?」


てか、重っ!?


何で、起き上がれ………


「むにゃむにゃ、そこは駄目!駄目だから、ダーリン!」

「何つう夢見てんだ、コイツ………」


この転校生、俺の腹の上で寝てやがる。


はぁ………


「降ろして、ソファーで寝るか………」


俺の部屋でも安眠出来ないとか、本当にどうかしてるよ、全く………


続く







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る