第15話 睦月の初めて 睦月side
第15話
「愛の力は無限だよ。愛さえあれば、どれだけ辛くとも、どれだけ無理難題だとしても、必ず乗り越えられるのさ。」
────かつて、我が母はそう言った。
愛により、様々な理論を打ち上げ、文字通り世界を変えた母がだ。
だから、私は今も信じてる。
────こんな私にも、愛をずっと捧げ続けられる相手が居る事を。
我が母が捧げると決めた、お爺ちゃんみたいな存在が現れる事を。
☆☆☆
「………お前から、コイツを奪う。化け物なお前には、過ぎた存在だからな!」
ああ、お母さ………我が母の言った通りだ。
「私は□□□□に出会った瞬間、中が疼いたんだよ。まだ、そんな機能すら無い筈なのにね。一目惚れさ、目と目が合った瞬間、好きだと気付き、愛を捧げるべき相手だとね。」
私にも、その意味が解ったよ。
まぁ、目の前に居る化け物が気に入らない、意趣返しみたいな所があるのも事実ではあるのだが………
ああ、本当に気に入らない。
────コイツは怠惰だ。
全身から『愛』されて当然という傲慢さが見て取れる。
いや、実際にそうなのだろう。
ぶっちゃけ、私もキツい。
直接相対すると、私もコイツを愛してしまいそうになる。
私にそんな趣味も性癖もないというのにだ。
だからこそ、コイツは………
「はっ、自惚れるなよ化け物。何もしてない癖に。」
ああ、本当に腹が立つ。
無辜に愛され、無償で捧げられるからこそ、コイツは何もしないんだ。
この男に、何もしなくても愛して貰えると、自らが動かなくても愛を捧げられると信じ切っている。
────ふざけるなよ、化け物が。
我が母も化け物と呼ばれてたし、実際にそれに相応しい程に凄い人だった。
でも、この世で誰よりも愛に貪欲で、誰よりも努力していた。
だからこそ、コイツの存在に腹が立つ。
「私は我が母の様に、必死に自分の愛を捧げ、全てを尽くしてでも頑張れる存在を探していた。化け物、お前のお陰で見つけられたよ、ありがとう。」
我が母に誇れる様な愛を………
我が母とその愛に脳を焼かれ別々の道を歩む事になった姉妹達に自慢できる様な生き様の為に………
───誰かに負けるのは良い。
───でも、コイツにだけは負けられない!
「────そう、なら私もお願い。転校生君は私の物だよ、転校生ちゃん♪」
「───────────はっ、やだね!」
────ヤバい。
ヤバいにも程があるだろ、この化け物!
一瞬、了承しかけた。
この男の事を必死に想わなければ、コイツに殺られる所だった。
─────面白い。
やってやる、相手にとって不足無し。
お前を倒して、私は私の愛を証明してやる。
何時だって、化け物を倒すのは人間だって事を、見せつけてやるよ。
何故なら、此処から先は………
「私の愛の………私の
続く
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