第1章 故に彼は目を着けられた

第2話 転校初日

第2話


「此処が今日からお前のクラスだ。」


転校、様々な事情が重なって引き起こされる行事。


例えば、親の都合、元居た場所の都合、本人その物の都合。


俺の場合は、俺自身の都合でそうなった。


いや、


「おい、皆転校生を紹介するぞ。ほら、入ってこい。」

「………解りました。」


色々あって転校してきた中学での最初の日、いきなりの難関が立ちはだかる。


はぁ、面倒だ………


これからクラスメイトとなる奴等がざわざわしてて、耳障りだ。


気色が悪いな、全く………


「よし、自己紹介を頼むぞ。」

「………俺の名前は浮世うきよ 飛鳥アスカだ。別に宜しくしなくて良いし、友達なんざ作るつもりもない、以上。」


これでよし。


俺が座る席は何処かな?


端だと助かるんだが………


「えっと………それで良いのか、浮世?」

「良いですけど、何か?自分的には最高の自己紹介なんですが………」

「そ、そうか………お前の席は窓近くの1番最後の席だ。」

「ありがとうございます。」


しかし、さっきから視線が鬱陶しいな。


まぁ、何故か耳障りな騒音は止まってるから良いのだが………


「此処か、良い席だな………」


俺が望んだ通りの場所だ。


………隣に他人が居なきゃもっとマシなのだが、それは流石に望み過ぎだろう。


「ねぇ、本当に宜しくしないの?」

「………誰だ、お前?」

「私?私は神峰かみね 朱雀すざくだよ♪」


へぇ、神獣みたいな名前なんだな………


だから何だ?という話だが………


「…………そうか。」

「そうだよ♪」

「………………………………………………」

「………………………………………………」

「「…………………………………………」」


はぁ、静かになってくれたな。


これからもそうであって欲しいが………


「何で黙るの!!!」

「うおっ!?」


何故か急にキレやがった!!


何処に居ても、女は情緒不安定なのか………


面倒の塊だよな、全く………


「何か話そうよ!色々とあるでしょ!!」

「無いから話さない。」

「本当に!?」

「本当だ。」


何なら目も合わせたくないし、声も聞きたくない。


流石に無理な話だろうが………


「もう………仕方ないなぁ………」


ん?


何か変な仕草をし始めたな………


まるで、媚びを売る様なあざとい姿勢を取って………


「ねぇ、お願い♪私とお話しよう♡」

「えっ、却下。」


そんな事されても吐き気がするだけだ。


しかも、を………


………嫌、関係ない。


こいつ等と関わる気はないが、重ねるのは流石に失礼だ。


よし、個人的に嫌いとしとこう。


「えっ、嘘……………………………………」


凄い動揺してるな………


今まで言う事を聞く様な奴等ばかりだったのか?


まぁ、人生なんて、そう上手く行かない物なのだ。


今回、それを学べて良かったな。


「う、うぅ………うぇ〜ん!!!」

「はぁ!?ちょ、待て!?」


な、泣きやがった!


や、ヤバい、また………


『気持ち悪い、近付かないで。』


違う、違う!


俺はやってなんかない、俺は悪くない!


「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」


………気持ち悪い。


気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い!!!!!!


早く、出さなきゃ………


俺の中から、を………


「早く、早く早く!出ていけ!!!」


懐からカッターを取り出し、俺の手首へと向ける。


ああ、やっと俺は………


「………………………………………あれ?」


だが、俺がそうする前に意識が微睡む。


ああ、駄目だコレ………


そして、俺は何故か号泣する神峰の声を聞きながら、意識を手放していく。


と、転校初日は惨劇で始まるのであった。


続く

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