第3話 最悪の目覚めと勘違い

第3話


『さっさと謝れよ、変態野郎が!』


ああ、懐かしい。


吐き気がする程の嫌な思い出だ。


『そうだそうだ!このクソ野郎!』

『最低、死ねば良いのに………』


ありとあらゆる罵詈雑言が俺を刺してくる。


それに乗じて俺を取り囲む者、遠巻きに見ながら侮蔑の視線を送る者、娯楽かの様に嘲笑う者。


その全てが俺を傷付ける。


違う、俺は………


俺はそんな事なんてしていない!


どうして、信じてくれないんだ!


なぁ、□□□………


お前は俺を信じてくれるよな?


『気持ち悪い、近付かないで。』


えっ………


……………………………………巫山戯るな。


何で、何でお前は………


許さない、絶対に許さない。


お前は、お前達だけは………


絶対に………


☆☆☆


「殺しやる!!!」


思い切り飛び上がった瞬間………


「ぐあっ!?い、痛い………」

「きゃっ!?い、痛いよぉ………」


何か、硬い物に頭をぶつけてしまった。


滅茶苦茶痛くて、脳が震える。


唯でさえ、あんな光景を再び見せられたっていうのに………


クソっ、吐きそうだ………


………………………………………………ん?


そういえば、俺以外の声も………


「うぅ、石頭さんなんだね。でも、起きて良かったよ。」

「お前は確か………」


そうだ、急に泣き出したクソアマだ。


一体、何の様だ?


まさか、ある事ない事を言いふらして、俺に嫌がらせをするつもりか?


お前がそのつもりなら………


「急に泣き出してごめんね?」

「………………………………………はぁ?」


謝る?


何でだ?


えっ、マジで何でだ!?


「理由はよく解らないけど、転校生君に嫌な思いさせちゃったみたいでさ。本当にごめんね。」


自分の非を認めて、謝ってるのか?


そんな事をしても、だけだぞ?


まさか、コイツ………


「聖人君子の天使なのか!?」

「えっ、天使!?そうかな〜えへへ♪」


えっ、何か気持ち悪い反応してる。


色んな意味で怖いぞ、コイツ。


よし、話を逸らすか。


「………別に気にしてない。個人的な理由で自傷したくなって、トラウマ穿り返されたせいで気絶しただけだ。お前が謝る必要なんて皆無だぞ?」

「………そうなの?なら、余計にごめん。」


と、コイツはまた謝ってくる。


やはり、訳が解らない。


コイツは謝罪が趣味なのだろうか?


変わった趣味を持ってる奴も居る物だ。


「良いから謝るな、気色が悪い。」

「ええ………でも、元気そうで良かったよ。これ以上何かあったら………」

「あったら?」

「………ううん、何でもない。メチャクチャシテタカモナンテイエナイヨ………」


言いたい事があるなら、はっきりと罵倒すれば良いだろうに………


はぁ、何から何まで変な奴だ。


「………用が済んだなら、早く戻れ。授業はサボったら駄目だろうが。」

「えっ、もう全部終わったよ?」

「……………………………………マジで?」

「うん、マジ。」


と、俺の転校初日は散々な終わりを告げた。


ネタバラシをすると、今日はそんなに授業が無かっただけらしいのだが………


元々、充実した学校生活など望んでいない。


………それなのに、嫌な予感がして堪らなかった。


続く

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