第4話 朱雀の初めて 朱雀side

第4話


私は人気者だ。


私の言う事を全ての人が聞いてくれる。


生まれてきた時からずっとそうだった。


皆がパパやママみたいに尽くしてくれる。


「ねぇ、お願い♪」


私が頼めば男の子も女の子も、子供も、大人の人も、誰もが助けてくれる。


そう思ってたのに………


「えっ、却下。」


転校生君が現れた。


そして、こんな風にお願いを断られた。


この私がしたのに、転校生君は断ったのだ。


さも、それが当然かの様に。


だから、私は………


「うぇ〜ん!!!」


脇目も振らず、泣き出してしまった。


今思えば、本当に恥ずかしいよぉ………


でも、それ程までにショックだったのだ。


私のお願いだよ?


そのお願いを断られるなんて、今まで無かったし、有り得るとは思ってなかった。


それなのに………


「凄いなぁ、転校生君。」


思わず、声が溢れる。


………よし、決めた。


転校生君と仲良くなろう!


そして、私と………


「朱雀ちゃんを泣かせるなんて、酷い転校生だな!大丈夫か?」


………はぁ、気分が台無しだよ。


確かコイツは………クラスメイトの…………


………覚えてないし、別にいっか♪


それにもう………


「ねぇ、少しがあるの♪」

「えっ、何々?何でも聞くよ?」

「実はね………」


私は彼の耳元でお願いを囁く。


「おう、解った!」

「ふふ、お願いね♪」


これでよし、と。


じゃあ、授業が全部終わったら転校生君の所へ行こうっと♪


☆☆☆


「聖人君子の天使なのか!?」


私は思わず一瞬だけ怯んでしまう。


天使、私が天使!?


そんな訳がない。


私が天使なら、パパやママ達は神様という事になるじゃん………


………そんなの、絶対に有り得ない。


まぁ、それはそれとして………


「えっ、天使!?そうかな〜えへへ♪」


嬉しい物は嬉しいのです。


女の子に天使は褒め言葉なのだ。


しかし、いきなり口説くとはやりおるな、転校生君………


転校生君って、女誑しなのかな?


それで前の中学に居られなくなったとか?


可哀想………


でも、元気そうで良かったよ。


気が付いたら気絶してるし、カッター握ってるしでビックリしたもん。


「メチャクチャシテタカモナンテイエナイヨ………」


断られてから、私が私を制御できない。


今にも羽目を外して大盤振る舞いしそうだ。


ああ、こんな感情は初めてだよ………


君が私にそうさせたんだよ?


だから………


「モウニガサナイヨ………?」


続く

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