第24話 動き出す者達

第24話


鳳凰=お姉様side


「はぁ、面倒ね………」


高校に行く以外で、この街に来るのは本当に面倒だわ。


でも、やるしかない。


多分、それが貴方様………飛鳥様の為になるだろうから。


「ふふ、金曜日の学校ぶりね、一果いちか。」

「急に呼び出して、何の用なの鳳凰?」

「色々と聞きたい事があってね………」


彼女の名は、浮世 一果。


────そう、最近調べて解ったのだが、飛鳥様の義姉であり、将来は私の義姉になる娘だ。


ちなみに、私の唯一の友達でもある。


まぁ、あの化け物な妹と会えば、奪われるのでしょうけど………


「単刀直入に聞くわよ、一果。」

「一体、何を聞きたいの?」

「貴女、貴方様………じゃなくて、弟が居るんでしょう?」

「ぶぶっゥゥう!!??」


あら、汚い。


ノンビリ飲んでたコーヒーを吹き出して、そんなに古風的な驚き方します?


それとも、そんなに地雷なのかしら?


「な、何で知ってるのよ!?ていうか、それを聞いてどうしたいの!?」

「いえ、少し気になってね。それに、将来的には私は貴女の義妹になるのだもの。私の知らない飛鳥様の事を、義姉になる貴女から知りたいのは同然の話じゃないかしら?」

「えっ、義妹?義姉?飛鳥様?えっ?」


あら、はてなマーク沢山。


そんなに驚く事かしら?


「鳳凰、あのあす………弟とどういう関係なの?」

「関係?将来的にになる関係よ♪」


────大嘘である。


というか、まだ不確定な事項である。


☆☆☆


睦月side


「全く、我が母は人遣いが荒い。」


休日に呼び出して、何故かコンビニで弁当を買ってくるのを頼まれた。


あの人、大体の事は出来る癖に、料理は出来ないのだ。


「昔は愛しのお爺ちゃん、今は愛しの弟に頼りっぱなしだからなぁ………」


私も料理は出来ないので人の事は言えないのだが、それだけで人を使うのはどうかと思うの。


「全く、幼馴染とイチャイチャデートに行った弟君め………祝福しちゃうぞ♪」


それ自体はとても良い事だ。


純愛は祝われるべき物であり、大切に、敬意を払うべき物だ。


そこに文句を付ける筋合いは無く、邪魔をしていい物ではない。


邪魔を、汚す物など、我が母の怒りで死に尽くせば良いのだ。


まぁ、だからこそ………


「あの化け物が気に食わない。」


あれも純愛の一つだ。


何もしない、怠惰で怠け者だが、それ自体を貫き通す姿は美しい。


気持ち悪い程に、羨ましい程に。


「でも、認めない。認められない。」


それじゃあ、今まで純愛の為に努力し続けた我が母がバカみたいじゃないか。


アイツと我が母は違うと解っているのに、心がそう叫ぶ。


「難儀だね、私も………」


一番難儀なのは、私達に惚れられたダーリンなんだろうけど。


「ん?アレは………」


道すがら、とある少女が目に映る。


何処か影のある少女で、何か俯いている。


「それに、あの義妹ちゃんと似た様な気配がする………」


匂いもそうだし、魂の色も似ている。


つまり、彼女は………


「お母さんが言っていたダーリンの二人目の義姉か。」


成る程、偶然だが良い出会いだ。


自分を自分で祝福したくなる。


ふふっ、早速行動するとしようか。


「やぁ、初めまして、ダーリン………飛鳥の幼馴染で義姉な二華にかちゃん♪」


☆☆☆


朱雀side


「なぁ、隣の奴………」

「朱雀だよ。何、転校生君?」

「何で俺達は一緒に寝てるんだ?」

「それはね………きゃっ♪」

「おい、やめろ。ガチでやめろ!」


滅茶苦茶嫌な予感がするんだけど!?


「ふふっ、転校生君が心配してる様な事は何もしてないよ?私は何もしないしね。まぁ、今回は抱き心地が良さそうな抱き枕を発見して使用しただけだし♪」


う、ウザい!


ていうか、物扱いするなよ、全く………


「────あれ?転校生は?」

「転校生ちゃんはお母さんに呼ばれてお使いらしいよ。お姉ちゃんは何か遊びに行ったみたいだよ。後で、私と同じ様にこの家に来るらしいけど。」

「へぇ………」


さも当然の様に入ってくるね、君達。


まぁ、家主はあの転校生だから、俺は何とも言えないのだが………


「あっ、そうそう。先に言っとくね。」

「何だ?嫌な予感しかしないぞ?」

「私とお姉ちゃん、今日から此処に住むからね。」

「はい、また同じパターン!」


もう疲れたよ、パトラッシュ………


続く

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