第27話 パスタの種類は意外と多い

第27話


「「暇だな………」」

「だったら、家事を手伝えやアホども!」」


俺の家にアホどもが住み着いて………同居し始めて数日が経った。


こいつ等、本当に働かない。


正確に言うと、転校生はしている。


俺の部屋のだが………


「やるなら自分の部屋をやれよ………」


転校生の部屋は本当に酷い惨状なのだ。


訳の解らない機材が散らかり放題、服も下着も脱ぎ放題。


機材は怖いのでノータッチだが、脱ぎ散らかした服を片付けたり洗濯してるのは俺なんだぞ!!


「はは、全くだね。ちゃんとすれば、転校生ちゃん?」

「論外は黙ってろ。」

「酷い!?」


この家で一番駄目で、一番何もしてないのはお前だからな?


掃除駄目、洗濯駄目、料理駄目、お前は何なら出来るんだの、隣の駄目な奴!


「私は何もしないからね♡」

「それは練習しない言い訳にはならないからな!」


顔と身体に女子力全振りしたのか、このアホは………


────まぁ、ほんの少しだけ、世話を焼くのが楽しくなってるのは、絶対にコイツには内緒だ。


絶対に調子に乗るからな………


「お前ら、お姉様を見習えよ?あの人はちゃんと手伝ってくれるし、俺がやろうとしていた事を先にやってくれたりするからな?」


あれだ、良妻とはああ言うのだろう。


結婚するなら、一番良いのだろうが………


「ストーカーじゃあな………」


性格で損をするタイプなのだろう。


今までは隣のアホな奴のせいで目立たなかったのだろうが………


「そう言えば、お姉様は?」

「お姉ちゃんはお出かけだよ。何でも、友達に会うんだってさ。」

「へぇ、お姉様って友達居たんだ。」

「だよね、私もビックリした。」

「お前等、酷い言い草だな。」


それに、友達居ないのは、大体お前のせいだと思うぞ、隣のアホな奴。


お姉様の言う事を全てそのまま信じればの話だが………


「じゃあ、今日の昼飯は俺の役目か。おい、アホども。何が食べたい?」

「「パスタ!…………ん?」」

「おいおい、息が偶然合ったからって、睨むな睨むな!」


全く、コイツ等は………


────確か、隣の奴は和風が好きで、転校生は洋風だったか?


「じゃあ、和風と洋風の両方だな。」


さてと、じゃあ始めますか!


☆☆☆


「ズルい、ズルいわ、貴方様。」

「貴女が居なかったから、仕方がないでしょうに。」

「今回ばかりは文句を言わせて貰うわ、貴方様。早く、私にも作って!」


帰ってきてたと思ったら、唐突にお姉様がそう言ってきた。


どうせ盗聴でもして知ったのだろう。


この様子だと、昼飯も食べて無さそうだ。


仕方がないか………


「中華風パスタで良いですか、お姉様?」

「ええ、勿論。」


────全く、世話の焼きがいがある同居人達だな。


案外、こういうのが楽しいのかもな、俺は。


「何考えてんだろうな、俺………」


最近、自分の事を自分自身が解らなくなってるな、俺………


続く

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