第28話 繋がるセカイ

第28話


『またかよ………』


確か、中華風パスタを作らされて………


その後、ソファーで昼寝したら………


『何で、この世界の事を忘れてたんだ?』


前に夢に見た、気持ち悪い世界。


暗い闇に閉ざされた、吐き気のする陰湿な場所。


『全く、何が起こってるんだ俺?』


変な夢を見るのは強いストレスを感じてる時だと言うが………


『転校生君♪』

『貴方様♪』

『ダーリン♪』


ヤバい、心当たりが沢山在るわ………


『まぁ、全くの見当違いなんだけどね。』

『またお前か、化け物………』


あの時にも会った変な奴が、急に目の前へ現れた。


『酷い言い草だね。まぁ、化け物なのは否定しないよ。あのとは違うからね。』

『いや、誰だよ………』

『ああ、ごめん。此方の話さ。』


何か調子狂うな………


『お前、一体何者なんだ?』

『何者か………難しい話だね。君は私が人間だと言ったら信じるかい?』

『無理!』

『────即答だね。いや、ちょっと、かなり傷付く答えだ。』


えっ、何かごめん………


『ふふ、謝らなくて良いよ。別側面から見れば、君の答えは正しいからね。』


まるで、煙に撒かれてる様な感覚だ。


それだと、まるで………


────人間でも化け物でもあるみたいじゃねぇか。


『それに、今の状況にと合わせると私は注文の多い料理店のお客様さ。』


なっ………!?


それじゃあ、俺は………


『大正解♪君はもう蜘蛛の巣に囚われた獲物なんだの。』

『────何が目的だ?』

『勿論、食べる事だよ?』


そうか、俺は食べられるのか。


それは、本当に………


──────────────ありがたい。


『冗談を真に受けないでよ。』

『何だ、冗談か。つまらんなぁ………』

『でも、囚われているのは本当さ。』

『何?』


じゃあ、俺は夢の中で監禁されてるのか?


そんな、悪夢じゃあるまいし………


『悪夢かどうかは人によって見解が分かれるだろうね。でも、此処は私、私達の狩猟場セカイなのは確かさ。』


お前、お前達の世界………


『うん。まぁ、君は私の所にノコノコと捕まりに侵入してきたおバカさんって訳さ。』

『何じゃそりゃ………?』


何で、俺はお前なんかの世界に………


『それに関しては私もビックリさ。本来ならかなりの時間をかけて、君と繋がる筈だったんだよ。なのに、こうも短時間で繋がったんだよ。』


つまり、お前にも解らない異常が起きてる訳か………


『最初はね。でも、直ぐに解決したよ。』

『そうなのか?』

『うん。』


一体、何が原因で………


『私、前に怠惰と勤勉は表裏一体って言ったよね?』

『ん?ああ、何か言ってたな………』


いきなり何だ、コイツ?


『厳密に言うとね、勤勉も怠惰の内さ。』

『いや、真逆だろ。』

『違うよ!何かに勤勉になればなる程、他の何かを蔑ろ………怠惰にしている。これの何処が怠惰じゃないって言えるのかい?』

『そんなの………』


唯の言葉遊びみたいな物じゃねぇか!


『ふふ、その内解るさ。何故なら………』


表示は見えない筈なのに、化け物が嗤った様に感じる。


そして、本当に嬉しそうに………


『────君は私に会った事があるでしょ、アス君?』


その呼び方、その喋り方、全てにおいて懐かしい………


『お前、まさか!?』

『残念、時間切れ!』


────其処で俺の意識は暗転した。


続く

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