第24話 噂

しばらくして、学校に登校すると、昇降口の隣の教室にいる同級生が大声で聞いてきた。

「お前、増谷と付き合ってるって、本当か!」

朝から、いきなりそんなことを大声で聞かれるとは思わなかった。

「いいや、違うよ!」

僕も大声で返す。

昇降口に入ると、麻美がいた。

確実に今の会話は聞こえただろう。

僕をみると「おはよう」と気まずそうに言ってさっていった。

「おはよう」

僕は、1人でつぶやいた。


それから、僕が麻美が好きだとか、付き合っているだとかの噂が流れた。

僕のクラスでは、石川さんと僕が親しいのはみんな知っているので、みんな僕と石川さんの挙動に興味を持っていた。

教室で、僕らは少し距離を置くようになった。


「お前、結局、どっちと付き合っているの?」

部活中、郡司くんがやはりストレートに聞いてくる。

「誰とも付き合ってないよ」

「じゃあ、どっちが好きなんだよ」

「・・・石川さん」

「じゃあ、増谷は?」

「友達、だと思う」

「思う? 二股か?」

「いや、違うって」

なんか、またややこしい誤解と、噂が流れそうな気配がする。


3人での帰り道は、ちょっと気まずかった。

石川さんと麻美は、ちょっと距離をとっていて僕は、共通の話題を話すことで精一杯だった。

「そういえば、もうすぐ冬休みだね」

「そうね」麻美がいう

「うん」石川さんがいう。

「えっと、冬休みになったらうちに来ない? うちの店の駐車場で、かまくらを作ろう」

「かまくら?」麻美はいう。

「いいね、おもしろそう」石川さんは、のってくれる

「ね、いいだろ。雪だるまとかまくら作って、かまくらで弁当食べよう」

「小学生っぽいよ」麻美がいう。

「増谷さん、一緒に作ろうよ。ねえ?」石川さんがいう。

「わかった。石川さんがいうなら、いいよ」

「僕が言っただけじゃダメなのかよ」

2人が話し始めたことにホッとしながら、僕がいう。

「あんたが言うと子どもっぽい」

「あはは」石川さんが笑う。

「ふふふ」麻美も石川さんをみて笑う。

「子どもでいいじゃん。どうせ子どもだし」

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