第23話 誕生会
僕の誕生日は12月だ。
この頃、友達の間で誕生日近くの休みに、親しい友人を家に呼んで騒ぐ会をよくやっていた。
親がご馳走とケーキを用意してくれて、友達がプレゼントをくれるそんな会だ。
僕もクラスや、部活で親しい友人を呼んで誕生会を行った。
この時は、男子が多かったので、石川さんと麻美は呼ばなかった。
誕生会で、庭でバーベキューをしている時、突然、麻美がやってきた。
麻美の家は、畑を挟んですぐそこだったので、うちで騒いでいるのが見えたのかもしれない。
なぜか、いつもの勝ち気な雰囲気はなく、おとなしかった。
「これ、あげる」
そして僕に、包装されたプレゼントをくれた。
「ありがとう」
男子たちが、ニヤニヤしながら見ているのがわかる。
これは完全に誤解されたな、と思った。
そのあと、麻美を加えて誕生会は続く。
バーベキューの肉で、お腹がいっぱいになったら、家でゲームをした。
麻美は、男子たちとは距離をとり、終始大人しかった。
僕は、ちょっと離れたところにいる麻美のところに行き、聞いてみる。
「なぁ、どうしたんだ? なんか元気ないよ」
「いや、なんでもない」
「いや、なんでもなくないだろう?」
「・・・」
「なぁ?」
「なに?」
「どうしたんだよ」
「どうもしてないよ」
会話はどうも平行線だ。僕は話題を変えることにする。
僕はもらったプレゼントを見せる。
「これ、開けてみていいか?」
「いいよ」
許しが出たので、開けてみる。
僕は、包装された包みを開けて、その中から出てきた箱を開けてみる。
中には、小さな長方形のモチーフがついたネックレスだった。色は黒。
「これなに?」
「ネックレス」麻美がそのままをいう。
「僕がネックレスすると思う?」
「してよ」
「アクセサリーなんて、恥ずかしいよ」
「でも、して」
「わかった。気が向いたらね」
「貸して」
そう言って、僕の手にあったネックレスを奪い、僕に抱きつくようにしてネックレスをつけた。
「似合うじゃん」
「そうかな」
僕は、人生で初めてネックレスをした。
そんなことを話しているとゲーム中の同級生たちが、こちらを見てた。
やっぱり、誤解されている。
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