だから、君はこう言った
織隼人
第1話 始まりはいつだったか
僕の初恋は、小学3年か4年だった。
その相手は小学1年から中学1年まで同じクラスだった。
7年間も同じだったので、いつから好きになったのはっきりとは覚えていない。
彼女の名前は、石川あゆみ。
彼女は誰にも分けへだてなく明るく接する人で、たぶんそんなところを好きになったんだと思う。
偶然だけど、中学校の部活は同じ卓球部になった。
僕は、単純に運動部の中でラクそうという理由で決めたけど、中1の夏頃には周りに狙って彼女と同じ部活に入ったのではと疑われていた。
ということは、たぶん、僕の気持ちは中学1年ごろにはみんなにバレていたんだと思う。
小学校5、6年の時に、男友達だけで好きな子が誰かを告白しあう話をしたけど、そこからバレたんだろう。
もちろん、石川さんへも伝わっていたと思う。
それでも、彼女は変わらず、僕に明るく接してくれていた。
やっぱり、そういうところが好きだったんだろう。
彼女と僕以外に、この物語にはもう一人、僕の幼馴染の女の子が出てくる。
彼女の名前は、増谷麻美(あさみ)。
石川さんと名前が似ているけど、これは偶然だ。
麻美は、幼稚園からの幼馴染で、家がすごく近い。
親同士も交流があり、だから家族ぐるみで一緒に上野の動物園に行ったり、お互いの家に泊まって遊んだりもした。
上野の動物園と言ったけど、僕たちの生まれは東京じゃない。
僕たちは、東京から150kmくらい離れた田舎で、生まれて育った。
だから、小学校も中学校も校庭が広く、校庭の端にプールがあった。
都会の学校は屋上にプールがあるから、子どもの頃はそれが不思議だった。
そんなのんびりとした田舎で、世間知らずで育った僕は今、思えば幸せな子ども時代を過ごしたと思う。
当時は学校のトイレで大きいほうをするのが恥ずかしいとか、
運動が苦手な僕は体育の授業が嫌いでどうやってサボろうかとか、
スクールカースト上位の連中や、ちょっと不良っぽい連中に絡まれないようにうまく過ごすことでいっぱいいっぱいだった。
あと、いまだにそうだけど、音痴だったから音楽の時間もしんどかった。
まぁ、とにかく、この話はおもに、僕と、僕の好きな相手と、僕の幼馴染が出てくる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます