第27話 学校に来なくなる

中学2年の春の終わりごろから、石川さんが学校に来なくなった。塾にも来なくなった。

理由は全くわからない。


僕は、麻美と話す。

「何か聞いてる?」

「いや、聞いてない。でも、たぶん・・・」

「何か知ってるの?」

「いや、わからない」

歯切れが悪く麻美が答える。


休みの日、僕は石川さんの家を訪ねて行った。

彼女の母親が出てきて、僕を見るとちょっと待っててねと言って、一度2階に上がって戻ってきた。

「どうぞ、入って」

「お邪魔します」

僕は、石川さんの部屋に通された。


彼女は、パジャマ姿でベットに腰掛けていた。

「どうしたの? 病気なの?」

僕は訪ねる。

「うん。ちょっと体調が悪くて」

「病院には行った?」

「行ったよ」

「医者はなんて?」

「体はなんでもないって。ただ、精神科の先生は、疲れているなら休みなさいって」

僕は、精神科という言葉にちょっとびっくりする。

「疲れているの?」

「私、そうみたい」

「今日はいきなりきてごめん」

「いや、いいよ。顔、見たかった」

「僕の顔を見たら元気になれるの?」

「なれるよ」

彼女は、弱々しい笑顔で僕を見てくる。

「それじゃ、また来るよ」

「うん、お願い」

それから、僕は最近の学校でのなんでもない話をした。

彼女は黙って聞いていたけど、たまに軽く笑ってくれた。

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