第14話 喧嘩する

やがて夏休みがやってくる。

僕らは卓球部の大会があるので、夏休み中も部活には出ないといけなかった。

校庭をランニングさせられてみんながバテている時に、僕と桜木の近くに郡司くんがやってきた。


「そういえば、お前、石川と増谷のどっちが好きなの?」

石川さんのほうを見ながら、ど直球なことを聞いてくる。

先に行っておくと、僕はこの後、郡司くんと喧嘩する。

ただし、この質問とはまったく関係ない理由でだ。

石川さんと麻美のことで喧嘩したならまだかっこがついた。


「というか、どっちかと付き合ってる?」

郡司くんはさらに聞いてくる。

「いや、そういう」

まで言った時、僕の左顎の部分に衝撃が走る。

何が起きたかわからなくて、左顎を押さえて起き上がると、ボールが足元に落ちていた。

近くで練習していたソフトボール部のピッチャーが的を外して僕の顔面に直撃したらしい。

しかも硬式のボールだ。軟式よりずっと固い。


左顎の部分が腫れている。

めちゃめちゃ痛くて、涙が出そうになる。

桜木と郡司くんは、僕の心配より先に笑ってた。

ピッチャーがすぐに謝りにくるが、僕の目には入らない。

この痛みで笑われたので、ムカっとしてしまい、郡司くんに蹴りを入れた。

そこそこ思いっきり。

そこで殴り合った結果、僕はボコられた。

まず、体格が違う。僕は小柄で筋力もない。郡司くんは体格が標準よりあり、筋力もある。あと格闘技が好きだった。


ボコった僕を仕方なく、郡司くんが起こして座らせてくれる。

「負けた・・・」

もう、それしか言えなかった。

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