第13話 社会科見学

そのうち、夏休み前の社会科見学をする時期になっていた。

僕たちの学年は、東京に行って国会や都庁など、必要なポイント以外は自分たちで道順を決めて回ることになった。

僕のグループは、男子3人と女子3人で、僕は桜木以外はあまり親しくないメンバーだった。

事前の打ち合わせみたいな授業では、回らないといけないポイントに先生がいて、何時にそこを訪れるかスケジュールを組むことになった。僕のグループの女子には一人クラスでも発言力がある子がいて、こう言う時、だいたいこの女子の元で物事が決まっていく。この子は、小林さんと言った。


回った順番は正確には覚えていないけど、東京タワーと国会はみんな強制参加で行って、議事堂前で写真を撮った。

その後の自由行動では、都庁、サンシャイン60、皇居、裁判所あたりを計画に入れていた気がする。

ただし、僕らは当日スケジュールを無視することになる。

小林さんが、行きたい場所があると言うことで、まったく別の場所に行った。どこに行ったかは覚えていない。

サンシャイン60だけちょっと遠いから、もしかしたら、ここが予定にない場所だったのかもしれない。

そして、大幅にスケジュールがずれて都庁で担任に会った時に、怒られはしなかったけど、反省はさせられた。

なぜか小林さんから、チームリーダーにされていた桜木が一番、可哀想なことになった。


自由行動の時には、僕は石川さんとも麻美とも別行動だった。麻美はクラスが別なので必然的に別になる。

国会議事堂で分かれる時、僕が彼女を見ると、僕にわかるように小さく手を振ってくれた。


自由行動が終わって、バスで帰る時、先生が疲れて寝てしまったので、みんなは騒ぎたい放題だった。

バスガイドさんは大変だったと思う。


僕は、石川さんと若目田さんの席に行き、トランプをして遊んだ。

トランプを並べる場所がないので、ほとんどババ抜きだけだったけど、最後のは飽きてきたので、桜木を混ぜて四人で大富豪をやったりした。


この時、女子二人は席に座っていて、男子が立っていた。

石川さんがカードを取るとためにかがむと、制服と素肌にできた隙間から胸の中が見えそうになってしまう。

僕は、慌てて目を逸らす。

おそらく、見えそうであって角度的には何も見えなかっただろう。

それでも中学生の僕は、好きな人の服の中身が見えそうなことにドキドキしっぱしだった。


高速のサービスエリアで、僕は乗るバスを間違えて、別のクラスのバスに乗ってしまった。

出発直前で慌てて、外に出て行こうとすると乗ってくる同級生や席に座っている同級生にやたらと、からかわれた。

そんなこともあった。

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