第11話 僕のミッション

中学の休憩時間。僕は、人見のクラスに向かった。

1年生は8組あるから、同級生でも校舎が別になる。

人見のクラスは、2階以上に上級生がいる新しい方の校舎だった。


普段来ない場所に、少し緊張しながら、人見のクラスに入る。

人見をすぐに見つけて、廊下に誘った。

校舎の奥は非常階段になっていて、そこにはほとんど人が来ない。

そこまで移動すると、僕は人見に行った。

「休み時間にごめん。ちょっと用事があって」

「いや、いいよ。何?」

「あ〜、あのさ、あ〜、塾のことだけど」

「うん」

「なんで、浅倉さんに冷たいの?」

僕はそう聞いてから、いや、なんか聞きかた間違ってないかと自問する。

「別に」

案の定、人見は嫌そうにそっぽをむく。

「いや、明らかなに無視してるじゃん」

「・・・」

「照れてるんの?」

僕は、昔からそうだ。ストレートにしか話せない。もうこのまま聞くしかない。

「・・・」

何も言わない人見。

「あ〜、まぁ、照れるよね」

人見がこっちをみる。

「あんな美人に好かれたら、そりゃ、照れるよね」

「照れてないよ。今は、勉強に集中したいだけ」

「そっか」

「・・・」

「それも大切だね。あ〜、でもなんか、女子の気持ちも大切にしないといけないみたいだよ」

「・・・」

「いや、僕も分からないんだけどね。ははは」

僕のから笑いが、小さく響く。

「人見は、浅倉さんが嫌いなの?」

「・・・」

返事がないので僕は仕方なく、校庭のほうを見る。

今日も天気がいい。雲の少ない空がまぶしい。

「ふぅう」

僕は非常階段の塀に両肘をつく。

「3人の時にさ、海外の都市の言いっこしたじゃん。覚えてる?」

「覚えてる」

「あんな感じには、もう戻れない?」

「たぶんな」

このたぶんは、無理という意味だな、と考える。

その時、授業開始のチャイムが鳴り始めた。

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