10 ねこのデパートのおもちゃうりば
そうたくんはぴのくんやふくくんとの将棋崩しにワクワクしながら、マタタビタウンに向かいます。
ぴのくんとふくくんはいつも通り街の中で見つけました。なにやらお店を覗いています。
お店には「ぶりてり碁盤店」という看板がかかっていて、碁盤だけでなくりっぱな将棋盤や駒もあるようです。
そうたくんは二人に尋ねました。
「ここで盤と駒を買うの?」
「いや。ここの盤と駒はトンビリさんが何十枚も必要だから、ここで買うのはむりだ」ふくくんが難しい顔をします。
「もっと安いにゃんてん堂の盤と駒でじゅうぶんだよ」と、ぴのくんがため息をつきます。
たしかに「ぶりてり碁盤店」で売られている盤や駒は、美術品として価値のありそうなキラキラした美しいものでしたが、3人のお財布では手が出ません。諦めて、ふつうの盤と駒を買うべく、3人はマタタビデパートのおもちゃ売り場に向かいました。
マタタビデパートのおもちゃ売り場は、人間に遊んでもらうおもちゃでなく、猫だけで遊ぶためのおもちゃが売られていました。
3人は一瞬、入り口にあった最新ゲーム機の「ニャンテンドースイッチ」に気をとられてしまいましたが、ゲーム機でなく将棋盤と駒を買いにきたことを思い出しました。
すぐににゃんてん堂謹製と書かれた折り畳み将棋盤と駒を見つけましたが、もうちょっといろいろ見てみることにしました。
「わあ、このニャンダムのプラモデルかっこいい。ぱちぱち組めるから接着剤がいらないんだ」
ぴのくんはロボットも好きなようです。
「こっちの潜水艦面白いなあ。本当に水で遊べるんだって。仕組みが気になる。科学実験のできるおもちゃも売ってるぞ。アリの巣の観察キットほしいなあ」
ふくくんが頭のよさそうなおもちゃを眺めています。
「うーむ。おもちゃ屋さんって面白いものがいっぱいだね……なんだろこれ、シーモンキーだって」
そうたくんは不思議なパッケージの、小さなエビさんを飼うセットを眺めました。でもきっと、水槽をお腹のホヨホヨにしまったら、倒れてエビさんが死んでしまうでしょう。あきらめました。
3人は予定通り、お小遣いを出し合って、にゃんてん堂の将棋盤と駒を買いました。将棋、というゲームのルールをほとんどの猫が知りませんが、将棋崩しならだいたいの猫ができます。
さっそく、みんなで将棋崩しをしようと、公園のあずまやのテーブルに盤を広げます。駒をジャラッと置いて、将棋崩しを始めました。
それぞれ一勝したところで、3人は解散しました。もうおもちゃ屋さんに行っただけでワクワクしていたので、疲れていたのです。
そうたくんは人間のおうちに帰ってきました。疲れて眠かったので、いすの上でお昼寝をしました。人間が帰ってきて、キャットフードを用意してくれました。
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