7 ねこのびじゅつかん
そうたくんは美術館のただ券をにぎりしめて、マタタビタウンにやってきました。待ち合わせ場所のマタタビタウン中央駅で、ぴのくんとふくくんと合流しました。
美術館は地下鉄で3駅向こうの、静かな森の中にあります。3人はみんな、地下鉄に乗るのは初めてで、券売機でどうにか「ヤナギ湖駅」の切符を買い、地下鉄に乗り込みました。
地下鉄なので周りの風景は分かりません。なんだか薄暗い地下を、妙にまぶしい電車が走っています。
なんだか心細くなって、そうたくんがだまっていると、ぴのくんがまぐろキャンディをくれました。それをなめていると、だんだん気分が楽になりました。
ヤナギ湖駅に到着して、3人は列車を降りました。改札を抜けて駅を出ると、マタタビタウンとは違った、観光地みたいなところに出ました。ちょっと目がチカチカして、3人とも顔をしぱしぱさせました。
美術館は駅を出てすぐのところにありました。きれいなレンガの建物で、入り口には大きな「考える猫 ニャダン作」という彫刻がありました。
美術館の券売所でただ券を出すと、パンフレットをもらえました。展示品の詳細とこれからの企画展が書いてあります。
さっそく展示室に入ります。
ぴのくんが目をきらきらさせて、
「ニャルトラマンの怪獣だ!」と声を上げます。なにか特撮番組の怪獣のデザイン画が並んでいましたが、そんなテレビ番組は人間のおうちでは見られません。
「それ、どこで見られるの?」
「まえにマタタビタウンのラーメンやさんで順番待ちしてるときたまたま見たんだ。すごく面白かったよ」
なるほど、マタタビタウンでは人間のおうちでは見られないテレビ番組が流れているようです。
「こっちにはよろいと刀があるよ。とくがわいえにゃすが着てたやつなんだって」
ふくくんは難しいことを知ってるんだなあ、とそうたくんは感心しました。ふくくんの見ている堅そうなよろいを眺めて、そうたくんは昔の猫はすごいなあと思いました。
ほかにも、よこやまたいにゃんや、たけひさにゃめじや、ふじたつぐにゃるの絵画、よくわからないけど綺麗な古いツボやお皿、そういうものがたくさん並んでいて、3人はとてもいいものを観たなあと思いました。
美術館を一周して、とりあえず外に出ます。3人は美術館の向かいにあるレストラン「ブラザーズ」でお昼にすることにしました。
「美術館、すごかったね」
ふくくんがしみじみと言います。
「うん。きれいなものがいっぱいあった」
そうたくんはうなずきました。
「また来たいなあ。来月企画展っていうのをやるんだって。ブチランジェロの彫刻がくるらしいよ」
ぴのくんが笑いました。そこに、マタタビデパートのこねこさまランチとはちょっと違う、でもおいしそうなこねこさまランチが運ばれてきました。
3人はこねこさまランチをきれいに平らげました。なんとこのレストランではこねこさまランチを頼むとおもちゃがついてくるようです。
ふくくんは「ねこのおしごとずかん」という本を、ぴのくんは変身ヒーローの人形を、そうたくんは電車のおもちゃを選びました。
3人は地下鉄でマタタビタウンに戻って、それぞれのおうちに帰りました。人間がキャットフードをくれたので、そうたくんはそれもたくさん食べました。
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